ロンドンに来てまだ3日目だというのに、いつの記憶がどの日の出来事だったのかが混在している。それだけ濃厚な日々を経験できている証拠だ。写真を頼りに10日金曜日を掘り返そう。
8時頃に起床。昨日よく寝たのでこのまま活動開始。本来与えてもらっていた就寝スペースは結局彼らが使うことになっているので、着替えなどを取りに行くのに少し抵抗がある状況下、ひとまずブログを進める。旅立ちから到着までは書き上げるのにいつも時間がかかる。この家にはバスタブがあるのでお風呂でリフレッシュしたり。
一旦昼飯を経てもうちょっとワーク。折角ロンドンへ来ているのにパソコンと睨めっこの状態はU.K.ツアー定番のジレンマだ。昼過ぎに彼らも起きてきた(この人たちは本当によく寝る)。今日はライヴがあり、でもグリーンカレーを作りたくて、でも外にちょっと散歩に行きたいらしい。どうやら近所にローカルなレコードショップがあるとのこと。Teresa の靴の返品もあり、3人で外へ。
家から南へ向かうと West Norwood という地域に変わる。受託ボックス?に返品する靴を入れて、道中のリサイクルショップなどを覗く。予想通り時間がないのでレコードショップは次回に見送ることに。
St Luke’s Church は街の象徴とも言える巨大な教会。”教会は皆のもの” という基本方針から、1時間£60ほどで場所をレンタルできるらしい。教会レコーディングも割と現実的な距離にあるんだな。隣接する巨大な公園は自然に満ち溢れているとのこと。散歩だけでも十分楽しめそうだ。Javi によるスペインでの教会レコーディング談を聞きながら家へ戻る。
予想通りグリーンカレーも明日に持ち越し。パスタサラダを作ってもらい、Javi はライヴ前に別件があり先に家を出た。私も適度にブログを中断して、荷物を担いでバス停へ。
ブログを続けるためにバスでのんびりと目的に向かうというのもなかなか…。
というわけで18時過ぎに Holborn へ到着。Piccadilly Line のアナウンスでよく耳にしていた駅名だ。Javi オススメのスポットに到着して早速セッティング。人通りはまばらだが、セントラルということでチップに期待ができる。Teresa, Javi, Jamie も集まってくれた。彼らもこの近くでライヴがあるので色々と都合がいい。
今日は民放(ITV)の取材中に出くわし、もしかすると映像が使われる可能性があるらしい。内容は不明。続けて “idon`tknowbut” していると、男性が近付いてきて「今やっていた音源はあるのか」と、feat. Javi Pérez を指すと£50 を渡してくれた。マジ?更に「何か飲み食いしたいかい?」と食事まで提供してくれる無双状態。
1時間ほどで終了。人だかりができる感じではないが、チップ単価が高い読みは当たっていた。
Teresa のグーグル・アンドロイドによる写真。クオリティが高い!ありがとう〜。
フードはこちら。至れり尽くせり。音楽が好きでサウジアラビアに自身のレストランを持っているというアブドゥー(アブドーラ?)は、ロンドンに1週間出稼ぎに来ている合間だったらしい。彼が歩きながら考えごとをしているときに聴こえてきた曲が思考とマッチしたのだとか。この曲にはいつも助けてもらっているなぁ。
折角なのでアブドゥーも一緒にこれからのライヴへ。5分ほど歩いて Hercules Pillars に到着。ロンドン中心街にあるパブなだけあってハイソサイエティーの空気が渦巻いている。ここでも GUINNESS を奢ってくれるアブドゥー。マジか。
到着と同時に始まった “Zurito” のライヴ。Javi と Teresa がバスキングを経て始動したバンド。1stアルバムのロゴは呼鳴手氏が担当し、ここ日本でもRICH FOREVER を経由して音源販売中。現在は5人に増え(状況に応じてライヴメンバーは変動する)、ベースのJamie, トランペットのGeorge は #STDRUMS – Ear Infection のレコーディングに参加。ロンドンでの生活に密接な関係のあるメンバーのライヴ。最高に決まっているではないか。
そんな贔屓目は、桁違いに上がったバンドのクオリティーによって打ち消された。特に驚いたのは Teresa のギター。ピックアップの改造を施し、スパニッシュギター特有の奏法はドラムそのもの。リズムが超タイトになっている。
George のトランペットが鳴るごとに会場は EPIC に満ち溢れていた。天に響くんだよな…と伝えると、実際に上に向かって吹いているからそうなるらしい。too much beautiful だよ。Jamie のベースは極限までテクニックが磨かれ、YUIS はフルートと歌を担当。
そして Javi のギターは火を吹きまくっている。ルーツであるスパニッシュギターに、ハードロックのエモーションを加えたプレイスタイルは今でも進化し続けている。凄いミュージシャンと知り合っていたんだな…こんな感想が思わず漏れた。
外を覗くと…見知った坊主…Nathan! 2017年にUNDERGROOVELAND のメンバーとして Javi と共に来日したドラマー。現在はレコーディングエンジニアとして多忙な日々を送りながら、ベースでのバンド活動を始めたらしい。
「ベースは最高だよ。ドラムであり、リズムであり、それでいてメロディーを奏でながら、しかもダンスができるんだ。」というわけで今日から #STDRUMS 改め #STBASS へ変更いたします。
ZURITO in Hercules Pillars. 10/06 #STDRUK2022 pic.twitter.com/ifKS2rIrKx
— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) June 12, 2022
アフリカン・キューバン・サルサなど多様な音楽がミックスされた音楽。ここ最近の研究事項として、ロックやパンクのライヴに黒人がいるのをあまり見たことがない。しかし今日は黒人は勿論、ブラジル、メキシコ、更にアジアンと多種多様の民族がロンドンという1つのピットに集まって踊っていた。ステップの数だけ民族があっても、鳴っている音楽は1つなのさ。#STDRUMS もそのような音楽でありたい。しかしどの曲も随分と速くなっていて素晴らしい。音楽は速くないと。
終演後はそれはそれは飲む。アルコール狂の George から「とっておきを飲もうぜ」と、GUINNESS に Tia Maria を加えたカクテルを推奨された。これは凄い。コーヒーリキュールが相まってチョコレートのような香りを醸し出す。1杯飲めば月の裏側までひとっ飛び。
『ビジネスマン』をしっかり認識して見たのも初めて。ときたま写真を撮ったり、オーダーのために店舗内に入ってくるが、基本的にはずっとパブの外で飲んでいる。彼らからは「スーツを着ている自分」に自信があるように見えた。自らの選択なのだ。しかし中には真っ黒に目の隈を蓄え、浮かない表情をしている人もいたので心配なところもある。Nathan 曰く『彼ら』とは大きな境界線があるのだという。そんなグループに突撃していく George が大好きだぜ。
喫煙と共にコミュニケーションを嗜む人。覗いていく人。呆れた表情ですり抜けていく人。ビジネスマン。パブからは大音量の音楽がだだ漏れ、足を踏み入れれば壁のない世界。興味がない人はいるとしても「否定する」人は断じていない。様々な価値観が、相手の存在を肯定しながら共存する国。#STDRUK2022 pic.twitter.com/Vr8OmRnvmd
— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) June 12, 2022
外に出れば喫煙者と共にコミュニケーションを嗜む人。一瞥とサムズアップをくれる自転車を漕ぐ人。道を塞いでしまっている人々に呆れた表情ですり抜けていく人。パブからは大音量の音楽がだだ漏れ、足を踏み入れれば壁のない世界。興味がない人はいるとしても「否定する」人は断じていない。様々な価値観がそれぞれ自身の考えのもと、相手の存在も肯定しながら共存している。「こんなところに連日いたら生命の危機」とか思ってしまうくらいの幸せ空間でした。本当に最高。そりゃ記憶も混在しますわ。
Javi 自身も今日のような富裕層ゾーンでのライヴに若干の疑惑を持っていたそうだが、結果的にマネージャーも大喜びで大満足だったようだ。「これがロンドンだよな」とお互いの存在を確認するように乾杯。当然、帰りのバスでは寝落ちをしていたらしく、曖昧な記憶で帰宅…。Too many emotions in one day!
それでは、続きはwebで。チーン。
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【だって(だって)編】
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