まずはブログ更新が停滞していた釈明を自分自身のためにしていこう。友人から譲り受けたMacbook(2011年製)は光学ドライブが付いているため随分と重宝していた。しかし細かいガタが来ており(先月の記事参照)買い替え秒読みと思っていた矢先、なにかの弾みで icloud からログアウトすると、再びログインができなくなってしまった。iphone とのファイル共有が便利で、ブログもメモ帳を使って制作されている(重要)。遂に重い腰を上げて新しいコンピューター調達に向けて腰を下ろしていた。
新たに手に入れたのは2015年製のMacbook。早速データ移行…しかし復元アプリケーションが上手くいかなかったり、icloud にログインできなくなってしまったのはソフトウェアの問題だったりと七転八倒。稼動し始めたのはようやく先週から…といった具合。この間にサポートバンドのライヴが何本かあったりもしながら、週末にはライヴを控えている。組み立てている新曲を演奏できる状態にできればと奔走する最中、事件は起きた。
19火曜日の夜に福岡からコウちゃんが仕事のついでに来訪。水と焼酎を引き換えに刺身で迎撃するわけだが、暫くすると胃酸が上がってくる不思議な感覚に見舞われた。特段食べ過ぎ・飲み過ぎもしていない。朝方に解散して翌日。やられた。アニサキスの痛みだ。恐らく出処不明のサーモンのアラ(左下)ヒットしたのだろう。割と当たり慣れている(?)ほうではあると思うので、安静にしながら鎮静を待つ…。
こうなれば新曲をなんとか完成させる以外道はない。家から出ない時間が続くなか、構想している部品を繋げていくと可能性が見え始めてきた。先月も食あたりを経て1つのアイディアが纏まったので、今後は意図的に魚の内臓辺りを生で食べ続けていこう。「曲作りが煮詰まって気分転換にスタジオへ行く」サイクルは「曲作りが間に合わずスタジオへ行けない状況」となり、金曜日の深夜帯にようやくドラムを触ることができた。曲はまだ仕上がっていない。
4月23日(土)
朝からCDを携帯ケースに詰めていく。1000枚近くあるのに選盤に時間がかかるのは、名盤は人に貸して戻って来ず・特に最近のお気に入り盤はLPでしか持っていない状況を示唆してる。慌ただしい準備の最中、所有しているCD盤の意味をふと考えてしまった。家を出ると、目と鼻の先にはヤマト運輸のトラックが停まっており、もう10分待っていられれば新しい物販を持って行けた悔しさと、大きい荷物を受け取れない申し訳なさとが入り混じり、胃痛は無事に治っていた。
行きのバスは満席。中古だが新しいPCはバッテリーの持ちも随分よく、新曲の最後の詰め作業とフライヤー作成を進めながら北へと向かっていく。展開を覚えるために書き出したデモからはシンセサイザーの音が1つ抜けていた。不慣れな機材ならではの出来事。
渋滞を予告されていながらも定刻通り仙台へ到着。一瞬の隙をついて半田屋へ。店内に入った瞬間に空気が変わるこの感覚。後ろの男性は「カレーのちょっとだけ大盛り」をなんとか注文しようとしているが勝手が通らない。醤油のキャップは何故か半分以上が開きっぱなしになっている。これだよ。選ぶ時間も無かったためカレーに初挑戦。豚カツと大盛りで600円ちょい。これだよ。
会場へ到着すると大掛かりな機材転換がおこなわれている。sugarmanがサウンドチェックを終えた直後、これからkokyu が始まろうとしていた。モアモアズのメンバーも揃っている。良質なイベントは開演前から既にポジティヴ・ヴァイブスが流れているものだが、その感覚を具体的に受け取ったのも以前の仙台FLYING SON だったような気がする。来場者に向けたメッセージをカラーコピーしたA4紙を貼り回る山田。早くも楽しい。サウンドチェックも無事に終えて開場。
【アイヘイトプール vol.4】
昨年9月に頓挫したイベントにkokyu を加えての強化版。jualalai(フララライと読む)は再びキャンセルとなってしまい残念だが、アイヘイトプールとして無事に開催されたことを “モアモアズ” の演奏と共に祝った。東京に住む彼らと理容室を通じて出会い、彼らの地元仙台の地に音楽で繋がれている。新曲と伝えられた演奏はどっしり構えており、FLYING SON で育ってきた影響を垣間見れるものであった。最後はお約束の超速い曲。
主催の “sugarman” は2番手。途中自分の準備もあったため全貌は確認できなかったが、最後の曲で気怠明るいコーラスを終えると、ヒロヤが執拗にギター弦を叩き擦り、会場全体が浮遊しているような感覚を得られた。それは彼らのイベント開催へ対する喜びと、一種の怒りのようなオーラに包まれており、音楽・ロックとは出音の種類ではなく心なのだと思わざるを得ないものだった。初めてブッキングしてもらってから今日、sugarman はただただ『いい音を出すバンド』になり続けていた。
既にいい空気が会場内へ立ち込めている。ドラムを最前へ出すこともすっかり手馴れていただき、#STDRUMS は3番手。こうしてバスの中で形を仕上げた11分の新曲を披露することができた。急ごしらえで詰めの甘い部分に自覚はあるが、最高のフロアが内容を凌駕してくれている。散々叩いて喋ったのにも関わらずアンコールを頂きアレを演奏。終盤からペダルが外れてしまい『トラブルに見舞われないライヴをやりたい記録』を今日も更新してしまった。しかしカバー曲を演奏することはやはりリスクが付き纏う…。
23/04/2022 #STDRUMS pic.twitter.com/QVtFVMH0uR
— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) April 25, 2022
さて、お待ちかねの “kokyu” である。昨年のアイヘイトプールで、sugarman のライヴ告知に名前が出るとフロアが沸いた、あの kokyu。サックス須貝さんからはCDも頂戴していたが、まずはライヴで体験したかったのもあり今日という日を待ち望んでいた。
こういった気持ちは多くの場合、過剰な期待へと発展してしまうことがあるが、1音目から遥かに上回るリズム…それは日本の土着的な祭囃子を土台に、多国籍なフレーバーをツインドラムで賑やかすパンク然としたサウンドで、アップライトベースから放たれる硬質なループを更に鋭く磨かれたギターで調和させていく。そこにトランペットとサックスが乗るのだが、通常は更にキーボードがメンバーに居るものの急遽の事情にて不在。その隙間をトランペット久我さんがグロッケンで埋め、本来ではジャンベも叩きこなすという変幻自在なマルチプルスタイルにただただ嗚咽に近い声が出続けるのであった。この日のライヴで最も刺さった「海まで」は、音源にはないグロッケンのアルペジオが耳に残り続けている。
アイヘイトプールでのkokyuの"海まで"というインスト曲です。自分は白石民夫さんからかなり影響を受けていて受けた影響を楽曲に反映させてもらえるkokyuのみんなの懐の深さに感謝しています。 pic.twitter.com/1nl7cwBCY9
— 須貝 吏 (@sugai_tsukasa) April 24, 2022
そして「あの日のざわめき」の正体をフロアが証明していた。待ち望まれていたライヴと言わんばかりの盛り上がり。本編ラストの “ゲダウェイ” では当然とばかりにシンガロングで呼吸が行き交う。この土地で育まれてきたカルチャーを全身で浴びられる喜び。晴れて私もライヴ告知で「kokyu 出るのか!」と沸く権利を得られたというわけだ。全て納得だよ。
DJ も勿論面白い。モンちゃん、山田が次々と知らない音楽を流してくれる。私も sugarman の転換中に遊ばせてもらい、Jimi Hendrix の ALL ALONG THE WATCHTOWER が今夜の成功を見張っていた。Chemical Brothers がライヴ後に配っていたというCD-Rのタイトル “ELECTRIC BATTLE WEAPON” にシビれ尽くした。音を聴く前から最高過ぎる。その着想は RICH FORVER SEMINAR と通ずる部分があって嬉しい。
グルーヴの共有、新しい知見、様々な想いが交錯し、願いが叶った素晴らしい夜だったと断言する。ライヴハウスとは遊ぶ場所の1つであり「あそこに行けば楽しい何かが行われている」というくらいの、真剣だがラフな状態が理想だと私は思う。それは sugarman と FLYING SON の音楽へ対する真摯な姿勢の賜物だ。リズム・メロディ・ハーモニーをステージ上で組み立てて表現する “音楽” というエンターテイメントの意味と価値が仙台の夜に響いていた。
終演はすっかり22時を回っており、チェーン店居酒屋で打ち上げ。kokyu の皆さんともすっかり打ち解けられ、コウは機材を置いて何処かに行方を眩ませてしまった笑。例の如くモンちゃん(5万円下ろした男)、カツヤくん、そしてモアモアズ将輝を拉致して広場で朝方まで飲んで解散。
睡眠とも似ても似つかない時間を経て、朝方に荷物を纏め半田屋にて旅の総括をし、東京行きのバスに乗り込む。回らない頭で5月22日のフライヤー画像を作ったのだからいいだろう。これも全て新しいパソコンのおかげ。最高のライヴは最高のイベントのおかげである。今年は少なくとももう1回は行かないとな。ご来場いただいた皆さま、ありがとう御座いました。
それでは、続きはwebで。チーン。
season1-7
【ラベル見て『あーへぇ〜』編】
盟友とのラジオが始まりました。毎週月曜日朝7時更新。