採譜とは、なぜ一番複雑で難しい曲が最後に残るのであろう。レコード友達の「戦果」に煽り煽られ、私はレコ屋に行きたいのである。予定ではとうに家を出ていて、新入荷と書かれた棚をプライベートプールの如く泳ぎ回っていた筈だ。繰り返し記号が苦手な男の道は険しい。
この2日間はサポートバンドのリハーサル。アンサンブルとは会話であり、相手の話を聞きながら、ときに引っ張っていく。どうすればもっと良くなるか?を言語化し、共有して精度を高めていく。正確無比でコミュニケーションが断絶されているマシーン相手に演奏するソロ活動のマインドとは真逆の、メンバー全員で1つの音を作り上げていく作業だ。因果の呼び込みで集まった4人が同じ音を出そうとしている時点で、バンドは奇跡といっても過言ではない。親友は私にこう応えてくれた。「一人でやり続けた結果、誰かのためにやれることが磨かれているはず。」
その合間にとある仕事の進行。ただの冷やかしの筈だが「プロデューサー」とでも冗談で言って、仲間に入れてもらえるのはありがたい限り。それぞれのプロフェッショナルが集まり、役割を明確に担いながら現場が進行していく。セッションで掴んだアンサンブルを経て作品が生まれた。バンドじゃん。
Good Times and Bad Times。重なる偶然を掴んだ瞬間、積んできたカルマに足を掬われた瞬間。では今から、どうする。上がるも堕ちるもこればかりは自分次第。お前が作り、お前が壊せ。
終電手前のプラットホーム、乗車を待つ5〜6人全員が手元のデバイスに没入していた。幼少期はこういう時間をどう過ごしていたっけ。1969年はどうしていたのだろう。風景に目を向けていると耳元から流れるAdam F が余白を埋めてくれていた。
それでは、続きはwebで。チーン。
SEASON 1-2
祝!初回特盛放送:後編
盟友とのラジオが始まりました。毎週月曜日朝7時更新。