朝までやってホステルにて就寝。
宿まで向かう道中を見た限り、海が近く水路が多くて楽しい。
ホステル系の本棚にはお決まりの自己啓発系の内容物が揃っている。
午前中に目覚め、共有スペースで手塚治虫を読んでいると次第に人が集まってくる。
其々の性格がこのツアーを経て読めてきたので、眺めているだけで面白い。
村長ジュンジさん、黄レンジャーハルちゃん、しっかり者ヒロシくん。
漫画の登場人物っぽいバランスの良さなんだよな…。
ウトさん(飲兵衛)は突如広島に行くなどと言い出し行方不明らしい。
破茶滅茶だが、いつもの事だと淡々に処理されているのも最高である。
フネさん(地学者)は昨日お先に電車で福岡へ帰られてしまった。
さてチェックアウトし、一同は旦過市場を目指す。
老朽化と再開発の影響で、今年から閉業してしまうとのこと。
仲間内でも前評判が非常にいいこの市場。
目に飛び込んでくるのは、素人目にもわかる魚の驚異的鮮度。
鯵が、鯖が。
ノーマルカードとキラカードの違いくらいの輝きを放っている。
これは凄いぞ…。
辿り着いたは『大學堂』
地元の学生やボランティアが中心となって営業しているスペース。
お店と呼ばずにスペースと書いたのは、この場所のシステムにある。
売っているものは白米・味噌汁・飲み物。
鋭い読者の皆さまはお気付きであろう、オカズはこの市場から買ってくる。
通常ではこの丼を片手に市場内をフラつき、好きな具材を乗せて来れるらしい。
これこそが旦過市場の醍醐味。
ピタゴラスによる音階発見以来の大発明。
遠足のおやつvibesよろしく、好きな具材を買い合ってシェアすることに。
魚は勿論、ピーマン1袋30円。きゅうり1袋50円。
野菜も驚愕な戦闘力を持ち合わせている。
というわけで鯵・カンパチのお刺身に各野菜。
鳥レバー・南蛮漬け・卵焼きとくれば丼1杯では全く足らないというもの。
キッチン奥を使わせてもらって丸の鯖を捌くのもアリだったな。
ご飯を完売させてしまい、大學堂には随分と長居させてもらった。
ウトさんもどういうわけだか無事に合流できたために、市場を後にする。
また必ず。
車を走らすこと数十分。
我々は田川市へ到着。
“ALLESWITZ” メンバー、昨日はキムチも出店、サックスも吹いていたウエダさん。
彼の経営する焼肉店 “宋家” にてお昼ご飯。
ちょ。
おま。
俗に言う、これは、高級焼肉店ではないですか。
そう、ウエダさんは福岡に2店舗の焼肉屋を経営する事業主だったのである。
キムチとナムルは特に人気の品らしく、全国各地へ発送されているのだそう。
それで昨夜もあれだけ賑わっていたのか…。
暫くするとウエダさんご本人が登場。
「おつかれ」と、淡々とビールを注いでくれる。
確かに、ウエダさんだ。
「なんだこの人」と思ってたのが、実は超社長だったようなマンガ展開。
事実は漫画よりウケる也。
随分とご馳走になり、お店を後にする。
我がipodをランダムに再生していると、完璧な空とSpace Oddityがリンク。
数日前に他外来語でのカバーバージョンを聴いたばかりのタイミングで、流石だ。
本当にどこを見ても、九州は空が綺麗で最高。
どうやら、まだ帰路には辿り着かないらしい。
この時この瞬間、私はまだこの先に何が起きるかを知らずにいた。
今振り返れば、そのくらいの心持ちでよかったのかも知れない。
到着したのは、霊園。
gigiと四次元の立ち上げに関わり、福岡のアンダーグラウンドを形成。
人のために尽くし、周囲からの信頼と愛に尽くされた女性がいたらしい。
これらの歴史を知ったのは東京に戻り暫くしてからのこと。
ジュンジさん、ハルちゃん、ヒロシくん、ウトさん。
其々の今と、其々の過去、其々の想いがこの日に集う。
なにも知らず、後ろを付いていくように組んでもらったツアー。
道中で段々と見えてくる関係性。
このツアーの中核をも、いつの間にかよしえさんが担っていたのだろうか。
小中学生の頃、他のクラスの同級生と仲良くなり始めた感覚を思い出す。
微細にでも持っていたイメージと先入観が溶けて、壁が無くなる。
ぐっと距離が近くなり、リスペクトが新たな緩急材となる。
同じ考え同士だけでなく、様々な性格と考え方が集団活動にとっては必要不可欠。
コミュニケーションと多様性。
ツアーはそんな当たり前のことを改めて教えてくれる。
霊園一つを取っても、美しい空に均衡の取れた暮石の配置。
居心地の良さは日々の生活に於いて必要不可欠な要素と言えよう。
東京で暮らすメリットとの引き換えに、置き去りに忘れているもの。
人と出会い、様々な景色を見てきて感じる可能性と未来の1つだった。
改めて、素晴らしいツアーをありがとう御座いました。
こうして夕方頃、福岡市内に帰還。
どういう訳だか、行き先の指示板に惑わされ迷いまくる帰り道。
そこで地図アプリに頼らず、のんびりと状況に呑まれるのもまた一興。
ウトさんの表情こそが『ツアー試合終了』の合図に相応しい笑。
長らくお疲れさまでした。
帰ってくるのも少し久し振りのように思えるコウちゃん宅へ帰還。
冷やしてもらっていたGUINNESSで小倉を振り返る。
買ってきた野菜を肴に、あとは数日間のオフを満喫させてもらうとしよう。
それでは、続きはwebで。チーン。