10/11/2023 (Fri)
ミーティングの日。パブでのコーヒーは勢いに溢れ、横井翔二郎とのラジオ・11月29日に向けてのビデオミーティング、Tシャツの発注など日本に向けての作業を中心に進める。
昨日の会合で、セントラルでのバスキング事情を聞いた。今期は殆ど所定の場所でのバスキングを続けているため、新しい場所探しをするのも悪くない。というわけで機材を持って Tottenham Court Road に到着。
作業が長引いてしまったのは重々承知、一歩遅かった。バンドがセッティングしていたため、近くの広場の向かいにあるスポットにセッティング。
「Tottenham でやるには爆音が必要だ」私に向かってなにを言っているんだ?と呆れた Javi からの助言は、バスキング開始と共に意味を知ることとなる。今現在使用しているアンプ、Cube Street の解像度では、街の喧騒に音質が負けてしまうのだ。機材・バッテリーの進化により、バスキングにも音質が求められる時代なのである。
演奏開始20分後くらいにセキュリティーの人が来て中断。ビルから苦情が入ったらしいが、隣(駅前)では自分の何倍とも云える容赦ない爆音でのカバー演奏が続いており、自分の演奏が停止したお陰で向かいの広場での別のバスキングが始まった。セキュリティーも仕事として来ているためとても申し訳無さそうだったが、消化不良。
この足で Oxford Circus まで向かう。地下鉄出口の広場で別のバケツドラマーがバスキングしていたが、メインと言える交差点は空いておりセッティング。ほぼ毎日バスキングをしていたこの場所も自治体によってすっかり演奏できないスポットになっていた。
この日は止められず、夜は別の顔を持っているのかもしれない。しかし人の足も止まらず、キャッシュレス化も進んでいるセントラルで、フリースタイルをしたい若者の集団などの盛り上がりはありつつも、自分の音質も影響してか反応は微妙。
交差点で信号を待つ 3輪自転車タクシー (トゥクトゥク?) のスピーカーからは Brown Paper Bag が流れており、狙いは的を得ていると感じたり。セントラルロンドンの夜景に “それ以外” を感じ始めているのは、自分が観光客とは違う別の視点を持ち始めた証拠と言えよう。
22時に Cosmo も合流し、彼の案内と共に動いてみることにした。テムズ川を渡った South Bank 方面の川沿いにてセッティング。向かいにはスケートパークがあり、敷地も余裕がある。イケメン超絶イイヤツの Alexander も合流。
酔っ払いたちに囲まれて演奏し始めると、10分ほどでセキュリティーが来て終了。レストランも終わって特段問題ないと思いきや、ビルのオーナー?から苦情があるらしい。このゾーンは私有地であり、スケートパークというカルチャーと音楽は繋がらない。
というわけで最終的に橋まで行くものの、時間も遅く人がおらず、数曲で切り上げる。結果的に都心の現状を知れたのは大きい。Cosmo と友達のところへ合流する予定だったが、結果的に今日は解散となった。
帰り道の乗り換えが Camberwell だったため、閉店作業中の The Old Dispensary へ一瞬顔を出してから帰宅。会話もままらないボロボロのパトリックは最高だったな…。星々が輝く冬空を見上げながら Pink Floyd…。今期、バスキングはもうやり切った感がある。今期の旅でロンドンの冬を感じられたのは大きな収穫。
パーフェクトGUINNESSと上手に焼けたポークステーキにて就寝。柔らかさといい味付けといい完璧でした。
£28.2
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11/11/2023 (Sat)
曖昧な記憶。土曜日ということで少し早めの時間を狙って Brixton へ向かうものの、駅前にはスティールパンのバスカーがおり、KFC前でのバスキング。時間も早いため反応も寂しい。
しかし今日は別の理由あり。Cosmo と撮影の計画が進んでいる。その1つが Brixton でのバスキングだ。カメラの角度や音質を色々試す。寒いなか充分な収穫を得られたのではなかろうか。
19時頃に切り上げて Effra Tarvan で一杯飲んだのち、Shoreditch – Mikkeller にて Cosmo の友達たちと会う。繋がりを紹介しまくってくれるのが嬉しい。長く遊んでいたかったが、明日に向けて帰宅。
昨夜の成功を確信して焼いたら少し焦げた野菜たち。電子コンロは火加減が難しい。
£14.5
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12/11/2023 (Sun)
日曜日は Brick Lane。天気も崩れておりそこまで頑張る必要もないと思いつつ、11時に到着。
足元にムーが出現するのがロンドン。
小雨が降ったり止んだりの不安定な空模様なので、ルーフ下にてセッティング。以前向かいのアートショップから苦情が入ってしまったので避けたいが手段は選べない。音量に気をつけながら演奏。Roni Size をやると苦情が来ることが判明した。
そんななか、ふと訪ねてきた男性。「あの、よければなんだけど、そのハイハットクラッチ、貸してくれないかな…?」世界広しといえども路上でクラッチを借りたいと言われた経験を持つ者は数少ないだろう。
Ninety One Living Room でのライヴで、ハイハットとクラッチのサイズが合わなかったそう。これはドラム界の “あるある” 問題なので、事情もわかる。この国では借りしかないため、与えられるものはできる限り協力したい。彼が持ってきたクラッチは裏の金具が太く、薄いフェルトにすることでギリギリ機能した。今夜は予定があるためライヴは行けなさそうだが、91 の誰かに預けてくれれば問題ない。
こうしてクラッチも新たに18時ごろまで演奏。片付けをしながらストリートの仲間たちとの談笑。ラリーのバスキングを聴きながら、ケータイで歌詞を見ながらコピー曲を路上で歌っている日本の人々との “違い” を思い浮かべる。
まず前提として、路上でパフォーマンスしてみようとする意気込みそのものにはポジティヴな気持ちを感じている。だが、音楽に於いて最低限と云える “必須事項” …すなわち歌詞(パフォーマンス内容)を覚えていて、曲のリズムとメロディーに沿えることができる。このくらいはせめて練習してから来るべきだろう。「ちゃんと歌えているか」そんな当然すぎる感想が生じてしまう状況そのものが、由々しき事態である。余談ながら、日本の路上演奏に関しては ZURITO からも近しいフィードバックを得ている。
その上で、私の好きなバスキングは『街の一部』になれているかどうかで、ストリートに上手い下手など求めていない。ラリーのバスキングは正直、かなりラフだ。(本人にも伝えてある) 恐らく曲もオリジナルではない。しかし彼は “必須事項” をクリアしており、バスキングを楽しんでおり、何より夜の街の一部となって彩りを与えてくれているから楽しい。
やろうと思えば誰でもできるのがストリートカルチャーの良さであり、ゆえに個々人の目的と品質が問われる世界でもある。例えばグラフィティーアートという、端から見れば “街を汚す行為” が『カルチャー』として成立しているのは、アートが街にポジティヴな結果を生み出しているからだ。ただ汚いものだらけだったらとうに絶滅しているであろう。「なんでもいい」が結局一番難しいし、楽しい。現在のロンドンでも未だに古き良さが残っている、ここ Brick Lane での演奏も残り1回。
そんな感じで一息ついていると、あれ…今日の予定がなくなった?あれ。いける?
というわけで 91 へ。手厚く迎えてくれたバンドメンバー。入るとベースをメインに幾多のキーボードなどの楽器を用いてオーバーサンプリングしていく ISHA が演奏中。低音が滅茶苦茶いい音していた。てか、すげー人が入ってるな…。
楽屋に機材を置かせてもらった際に見つけた物販リストでバンド名が判明。FIEH というらしい。こうして21時ごろから演奏がスタート。
路上ライヴ中にハイハットクラッチを他のドラマーに貸したことはありますか?あります。ノルウェーからツアーで来ていた "FIEH" にクラッチを貸したら余りにも最高にファンクしていて最高。光の速さで仲良くなりました。日本盤は P-VINE からリリース中! pic.twitter.com/mNApcg2xW7
— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) November 13, 2023
マジか!1音目から最高。マジだった。FIEH。ノルウェー出身、ヴォーカル3人を擁する8人組バンド。軽快なジャズファンクに乗せて踊り狂ってしまう。MC ではクラッチの件に触れてくれたり、自分の活動がこんな素晴らしいライヴを助けることが出来ているなんて、なんと誇らしい。Connor も「内側の人間」として扱ってくれてビール飲み放題。
ドラマーの Ola は Mitch Mitchell を彷彿とさせる自由自在なドラミングで、ルーツはやはりジャズ。出音に繊細な注意があり、スローテンポからドラムソロまで叩きまくる姿勢に強いシンパシーを感じた。今日のライヴで私のクラッチも随分とグルーヴを吸収してくれたことだろう。アンコールも含めてたっぷり演奏。
終演後、光の速さで仲良くなる。こんな出会いがあるのがロンドン。時間が遅く店がしまっていたので彼らが泊まっているホテルのラウンジにて飲み交わす。Aiming for Enrike のPAで来年来日する Espen。また1つ面白い繋がりが生まれた夜でした。週末を終え、最後の計画に向けて動き始める。
£87.5
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OPEN -14:00 / START -14:30
2023年11月29日(水) / 渋谷RUBY ROOM
【RICH FOREVER TRADITION 2023】
#STDRUMS
with GUEST :
五十嵐雅
紀ノ貴紀
笠原佑介(Bass)
Bi-syu:
河内大和
横井翔二郎
◆入場者全員に特製CDプレゼント! (非売品)
OPEN -14:00 START -14:30
ADV -4000yen DOOR -4500yen
https://shop.rerure.com/product/rft2023_2/
それでは、続きはwebで。チーン。