METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

#stdrums

28/07/2023:#STDRUMS 〜 FUJI ROCK FESTIVAL ’23 〜

投稿日:

現段階で我がブログのタイムラインはまだ ZURITO とのツアー中。しかし、リアルタイムに感じたものを今は書き出すことが優先されると思い、ご提供の順番が前後することをご了承いただくフードコートスタイルで記事を書いていく。

日本最大の音楽フェスティバルと云える “FUJI ROCK FESTIVAL” に #STDRUMS での出演が決まった際、多くの友人・バンド仲間から祝福してもらった。

しかし実を言うと、このときはまだ「なにがそんなにいいことなのか」すらも理解できていなかった。【平沢進+会人(EJIN) 脱出系亞種音】以来2回目の出演、そしてフジロック初体験のレポートです。

ZURITO とのツアーを終えて6月は九州に滞在していた。ホテルに篭っての作曲合宿。市場まで行って魚を買っては捌き、スーパーマーケットに売ってる鶏レバーですら鮮度の違いに衝撃を受け、熊本の名作 “香露” を愛し続ける。そんな日々を過ごした。

7月は妹の結婚式のため台湾で演奏こそしたが、来たる末日に向けて引き続き作曲ソフトをいじり続ける日々を過ごす。事務所に動きあり。

本番に向けてのリハーサルは2日間に渡って行われた。24日には都内スタジオ。翌日は偶然スケジュールが噛み合った “RICH FOREVER MASTER” 横井翔二郎の運転で我らが善行Zにてゲネリハ。

ダブミックス担当の福島エンジニア、熊坂社長の音響PAという安定の布陣に全知の翔二郎が加わり、4人で1つの目標を目指していく。段々盛り上がっていくなか「俺も行きたいなー」と口走ってしまったが最後、急遽本番の音響にも社長が参加できることが決定。

いつもギリギリまで内容を追い込んでしまう自分の性格にとって、25日を「諦め」の区切りにできたのはとても大きかった。あとは本番まで反芻するのみ。通常持っていくことのないシンバル類の持ち込みが決まったのもこの日であり、その決定権は翔二郎に在った。ライドがもっとバシャバシャ鳴っていて欲しいとのこと。

トリガーや音響効果など、新しい実験は殆ど採用せず、これまで作ってきた楽曲を組み合わせての曲順となった。こうなったのも福島さんや翔二郎が過去の曲を持ち上げてくれたからである。生の状態を提供し続けてきたスタイルから、寒天くらいの固まり方で週末を迎えることとなった。

7月28日
出演当日。数年のうちでも特筆してしっかり睡眠を取ろうとしたこの日の朝6時に、まさか友人から電話が掛かってくるとは想像していなかった。しかも更に珍しい人生相談。やりたいこととは、続けられることなのだ。友よ。

正午に我がオフィス前にて福島エンジニアと合流し、機材に加えて大量のCD在庫を詰め込んだ理由は後記。天候にも恵まれ北を目指す。

全知お菓子。道中では音楽遍歴などを話し、高校生以降は(いわゆる)J-POP・邦楽に触れてこない人生だったのだと振り返る。

16時前に会場近辺の道の駅に到着して福岡支店長コウちゃんと合流。CD在庫の受け渡しも含めたフジロックツアーに抜かりはない。

この場で会場入り時間を調整するために腹ごしらえ。肉厚な焼豚丼の左隅にはブランド銘菓がこさえられており、振り返れば笹雪コーナーが展開されていた。魚を釣るには餌が必要。

銭湯も併設されており、澄んだ空気と共に露天風呂を満喫していると見る見るうちに暗雲が立ち込み雷雨。天然の水シャワー(至高)を堪能しながら今宵のステージを想像していく。

止まない豪雨のなか、17時過ぎに会場入り口へと向かえば一気に晴れ間が見えるのも山の天気ならでは。着実にvibesが高まっている福島エンジニア。好きだぜ。別ルートで着ていた熊坂社長とも合流。

受付に到着すると明らかに話しやすい方が出迎えてくれた。思えばゲネプロから僅か4日後の本番にも関わらず、突如のスタッフ変更にも臨機応変に対応して下さっている。一昨年の開催もこういった方々の士気が動かしてくれたのであろう。

18時過ぎ、バスに乗ってステージまで移動していく。なんとなく見覚えのある道順から、右手見えてきた RED MARQUEE ステージから、聴き馴染みのある周波数の爆音が漏れ入ってきた… eastern youth ではないか!

道中の回想、つまり日本のバンドでも特に聴き狂ったのは eastern youth。踵鳴るの生演奏をバックに機材搬入を行うなど誰が想像しただろう。それは制御不能に、荷物を置いて即赤いテントへと吸い込まれていく…「許しを得に来たわけではない」素晴らしき世界。この日に向けて準備をし続けてきた私にとって、歓迎と祝福の演奏だった。信じられるものこそが、続くのだ。友よ。

直前の強烈なインプットを経て準備万端。dawgss のステージを終えて転換。やはりスタッフ皆さまの動きが本当に素晴らしい。音響には社長。物販にはコウちゃん。隣には福島エンジニア。完全に1人で始まった #STDRUMS は、これ程までに安心できる人々に支えてもらえるようになったんだな。

サウンドチェックを始めるとみるみるうちに人々が集まってくれ、リズムと音楽に対しての熱気と期待に包まれていくのを感じた。そんなときでも写真を撮れるのは古のブロガーたる所以…いや、強靭なスタッフ皆さまのお陰で心に余裕を持てたまま、開演。

リハーサル前日に急遽完成した “生後5日間” の新曲は初演。今後どう育っていくかが楽しみな1曲。加えて新旧楽曲を併せてのライブ…moonchild, CLOSE TO THE EDGE, side fallen と。それぞれ善行の地下倉庫でレコーディングされた楽曲たちを、熊坂社長と福島エンジニアの3人で演奏できたのは何の因果か。

(最後に演奏した LETTER YELLOW の初演は↑アルバム “JUST A PHENOMENON” でお楽しみに頂けます。)

#STDRUMS 初の野外ステージでありながら『ストリート』としての野外ライヴ。踊って身体で反応してくれるのは何よりも嬉しい。これぞ “Anywhere Dancefloor” なステージ。打数が多い演奏となった。史上最もお集まりいただいた皆さま、ありがとう御座いました。

ライヴを終え、苗場食堂のご飯にあり着き任務完了。

機材搬出をお願いし、大きく道を間違えてENDON のライヴに歓喜し、タロウくんチエちゃんらと飲み交わし、記憶も曖昧の状態で ROOKIE A GO GO へ。


南部さんとも無事に再会。
「お〜、明日楽しみにしとるで〜!」
ohhhh…!!!

DNA GAINS, Kingo. この日へ漕ぎ着けた気合いと新鮮な血が滾り込むステージの隣ではサーカスが行われており、混じり合った酒と疲労が影響もしてか一瞬、夢の世界にいるような幻覚状態に身を委ねれば朝方。「絶対に連れて帰ります」と豪語してくれたコウちゃんは早々に消え去っており、福島さんも見当たらない。ライヴを観てくれたという方からビールとラーメンをご馳走になり、なんとかホテルへ…。

翌日以降はノープラン。2日目は電波障害が発生していたらしく、キャッシュレス化を狙っていた各出店もてんてこ舞いのご様子。ご友人の手助けもあり、結局3日間ともフェスに滞在することができた。偶然や久し振りの再会も多く、夜は寒く朝は暑い極限環境のキャンプも初体験。


【平沢進+会人(EJIN)】で出演した2021年は様々な禁止事項があり、我々もほぼホテルに隔離状態。今年の出演で遂に初めてゲートを見たり、食事をしたり川に入ったり…こうして無事 ”フジロックそのもの” を体験し、日曜日の終電で苗場をあとにした。

恵まれた自然と音楽が融合する FUJI ROCK FESTIVAL は最高だった。どのステージにも沢山の人々が集まり、#STDRUMS でも多くの、それも初めて観てくれる方々が自由でポジティヴな反応をしてくれた。

事実、私自身も多くの新しいバンドを観ることができた。国内外と広くアーティストを同じイベント内で観られるのは、音作りや立ち位置などの参考にもなる。例えば LOUIS COLE と BLACK MIDI はスネアの音が格段によく、それは彼らの体格や演奏スタイルから生じる叩く音量そのものが大きい結果である。

音楽(演奏者本体ではなく)を受けてエネルギーが生まれる瞬間はミュージシャンにとって最も幸せな瞬間の1つであり、知らないアーティストにも関係なく向けられるというのは、それだけ「この日を楽しもうとする」空気に包まれている証拠である。極論、ある程度のクオリティーが担保されていれば、鳴っている音はなんでもよい。

だからこそ「フジロックは最高」であり、だからこそ痛感した、ライヴハウスとの集客の差。ざっくりと書けば、(来日観光客も多く見受けられるなか)日本にこれだけの音楽ファンがいたことに驚いた。

緊急事態宣言期間にライヴ巡業したソロドラマーの手記。#STDRUMS【RICH FOREVER WESTERN JAPAN TOUR 2020】

ウイルス騒動に見舞われた2020年以降。#STDRUMS は緊急事態宣言最中の関西ツアーや、毎月開催のツーマンイベントなど…自分一人であれ動くことを信じて国内でのライヴを積極的に増やし続けてきた。多くのバンドが自主的に活動を止めていた。

日常に音楽を取り戻そう【RICH FOREVER JAPAN TOUR 2023】声明

血液が循環しなければ生物は死ぬ。動かす人が居なくなれば、その場所は不要な空間となってしまう。不景気を後押しし、自分たちで自分の首を絞めた結果、ミュージシャンの社会的地位は今まで以上に困窮している。繰り返しとなるが、3年半以上経ったいま、日常は何も戻ってきていないのが事実だ。

「素晴らしい」とは個々が持つ感性。
「知名度」とは周囲との共有から生まれるもの。
有名でなくても「素晴らしい」ものは「素晴らしい」からアートは面白く、多様な価値観と知見を認め合うことができる。フジロックでは多様な「素晴らしい」が1つの敷地に混在していた。

フジロック、そして音楽が好きな方々。どうかお願いがあります。ライヴハウスにも遊びにいらして下さい。苗場食堂ステージからの景色&参加した3日間で見た光景は大きな希望です。

「新しいアイデア、新しいアプローチというものは2000人の前では起こらない。 そういうのは20人〜25人が目撃するものなんだ。 」Ian MacKaye の言葉を引用する。グリーンステージに立つバンドも最初は数十人規模の会場から始まったはず。ひいてはライヴハウスがなければ、フジロックは成り立たないと言えよう。

ステージでの表現を目撃した「誰か」が次の誰かに伝えて、フロアに人が増える。お金が巡ればライヴハウスが潤い始める。文化が潤えば世界が変わる。世の中とは、民度とは、周りに任せるものではなく個々人の意識次第。

FUJI ROCK FESTIVAL ’23、沢山のエネルギーをありがとう御座いました。#STDRUMS を出演させてくれて、観てくれて、踊ってくれた皆さまへ大きな感謝を。一緒にライヴハウスで踊ろう。

P.S:
「ライヴハウスが多過ぎてどれに行けばいいかわからない」そんな人には私のイベント “RICH FOREVER SEMINAR” はいかがでしょう。他ジャンル・ひいては演劇などを掛け合わせ、ライヴハウスでフェスのような「広いアーティストを同じ場所で体験できる」時間を作るように心掛けている。鳴っている音はなんでもいい空間。しかも特典付き…これはひょっとして、フジロックなのでは?(ない) 次回開催をお楽しみに。

P.S.2:
後日友人のバーに行くと偶然 Yard Act のメンバーと遭遇し意気投合。地元 Leeds について話し、今季の渡英で会える可能性が出てきた。これは会わなければならない。苗場が繋げてくれたイギリスの出会いに感謝。

それでは、続きはwebで。チーン。

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