2月7日。改造された無敵のスーツケースに塩化ヴィニール・金属・木材を詰め込むとハンドルの根元が割れた。
京都への前乗りは OFFICE RICH FOREVER 福岡支店長コウちゃんとの首脳会議にて始まる。知らぬ間に密接な関係を築き上げていた支店長を連れて終演後の RAG へお邪魔し、グレンリベットで着火された勢いのブッキングは特製ウーロンハイで記憶と共に全焼。カメラフォルダーには知らない写真が充満していた。
編曲・スタジオワークと済ませて2月9日。
会場へ到着し、早速リハーサル。METROは後ろにもスピーカーがあり音で囲える作りとなっているが、なんと回線を事前に変更して下さり、ギターアンプを使わなくともサウンドマッピングができる状態になっていた。優勝。ドラムセッティングを済ませ、パソコンを起動。
おや、画面が映らない。
mac ではよくあることだ。
再起動。
おやおや、反応なし。
一通りのリセット作業をしての再々起動。
おやおやおや…。
パネルの開閉などを繰り返していると突如と表示された画面はファミリーコンピューターのバグのような状態。豪雨翌日の鴨川のような、最先端とは程遠い白濁したエメラルドを発色しており、ものの一時間前まで通常稼働していた当機からは誰が見ても死亡確定は明白だった。どうする。
どうする。私は出演者であり、DJであり、時間割りを握る主催者でもある。TUSKSメンバーの皆さまと打ち解ける余裕もなく、本番は難しいということでわざわざ足を運んで下さった WARHEAD アラキさんとビールを交わす隙間もなく、一旦。まずは一旦、BLONDnewHALF にサウンドチェックを進行してもらう。
その間に最寄りのパソコン修理業者へ連絡。大体が預かりになるわけだが、どういった状況か診てもらわなければ始まらない。電話予約のち、小脇に骸を抱えタクシーを捕まえる。どんな状況か恐る恐るパネルを開いてみると、意識はチカチカと虚ろではあるが、デスクトップ画面が表示されるではないか。
店舗まで到着したものの、微妙に画面も点いてしまい、やはり預かりが前提となるため数十秒で店を出る。流れてこないタクシーをようやく捕まえて会場へ戻ったのは開場30分前。瀕死ギリギリの状態を喜んでくれる出演者一同。画面を開いたまま充電キープ、物販設営、オープンしながらDJの調整。
“RICH VINYL WEAPON”
こうして初の京都企画は意識のないまま幕を開けた。開場してしまえばあとは時の流れに任せるのみだが、開演からDJ #UkORIGINAL である。バランス調整をしながら Sabotage を爆音で鳴らし、Ginger Baker や Ashra など複合使いに適した盤を組み合わせていく。徐々に余裕が出てきてフロアを見渡すと…何故 spacegrinder がいるんダー。これが唯一の記憶。
高知から “TUSKS” 神戸から “BLONDnewHALF” 東京以外での企画はその地域周辺のバンドを呼びやすい…そんな当然であるメリットを強く感じることができた。楽しんだが、すみません、本当に覚えていないんです…。間の DJ は múm, Curtis Mayfield, Pryda, DEEPCOUNT, #STDRUMS の転換中に Yoo Doo Right を一発鳴らしているとジンタさんが即反応。流石です。
回線だけ確認をして、サウンドチェックもなくぶっつけ本番での #STDRUMS。諸々のマイナーチェンジを実験できるチャンスでもあったが、もうこうなっては無事にステージが終わればよい。ある種の開き直りが生まれ、結果的にリラックスして演奏できた気がする。レコードも大量にあったため 13’ のスネアを持ってきたが、現在求めているサウンドと若干乖離があるように感じられた。新章前夜。
この様な状況にも関わらず臨機応変にご対応くださり、リヴァーブなども自然と操ってくださった伊達エンジニアには感謝しかない。METRO は HERE サポートで出演をした際に雰囲気とサウンドシステムに惹かれ、いつか出演したいと心に留めていたのが今日に至るきっかけだったが、そのときも伊達エンジニアが担当してくださっていたとのこと。ドラムソロをやっていて…といった雑談を覚えてくださっていて嬉しかった。
終演。Close to the Edge を流しながら安堵を迎える。潤さんに改めて観ていただけたのもよかった。ニックさんに食事を振舞っていただきつつ談笑。残った海老焼きそばをいただき、帰ろうとすると更に追いチゲうどん!満腹にて解散。念願の METRO にて DJ #UkORIGINAL と #STDRUMS の初企画!機材トラブルはさておき改良点も多く見える内容となりました。ご来場頂いた皆さま、会場スタッフの皆さま、ありがとう御座いました!また5月に…。
パソコンの電源はそのままに、京都METRO を後にするのであった。
それでは、続きはwebで。チーン。