お昼から来客。今日はキューバのシンガー:レマーとレコーディングをするそう。家をスタジオとして使うことが許容される文化圏のロンドン。(但し、この家の隣人は先述通り割とセンシティヴである)到着早々にビールを渡されるので、煽り耐性ゼロの私はやるしかない。ZURITO は今夜も Sevilla Mia でライヴ。
さて諸々作業を進めれば夕方。少し出遅れてしまったのもあり、バス1本で行ける所を地下鉄でショートカットして19時前に Holborn に到着。
セントラル近郊ながらバスキングができるスポットがあり、先週いい結果も出せた場所。更に週末という好条件なので期待が高まる。
早速セッティングして演奏していると…、え? MAGMA?? Led Zeppelin, David Bowie はなんら問題ない。King Crimson は少し珍しいけど可。でも MAGMA はないだろ。そんなTシャツを着た人がバスキングを見てくれている。
なんとこの人、2019年の RICH FOREVER SEMINAR vol.4 に来ているというのだ。確かに “是巨人” は世界的にファンを持つバンドだが、そんなことあるのかよ。思い返せば今日の朝方、Facebook ページに「何処でバスキングをやるのか」と問い合わせがあり返信をしたのだが、そのランダムなタイミングを引き当てて来てくれたのが彼 Stevie だったわけだ。
20190216 #STDRUMS + 是巨人 + 黄猿 + 明日の叙景 + Monoral Zombie 〜RICH FOREVER SEMINAR vol.4〜 渋谷RUBY ROOM公演
そして今日・明日と MAGMA のライヴがあるらしい。来日情報を仲間と共有していた矢先である。ロンドンでの生活は現地で稼いだお金で生活するゲームのような状態であり、この国で使い切って帰るのが信条。日本での生活のために稼ぎに来たわけではないのだ。特にライヴなどの『経験』は、肌でしか感じられない特別なものである。今夜 ZURITO のライヴがありながらも心が揺れ始めている。
極め付けは、1時間ほど演奏して稼げたのはなんと£3!Stevie から『ライヴチャージ』として£20を頂いていたが、バスキング結果だけではロンドン最低記録を更新。今日は特段暑い日で、道に立ち止まる気力がなかったのではと推測。涼しい国の人々は暑さに弱い。これ以上やっても無意味と判断し、機材を畳んで Stevie について行くことにした。
彼は Wales 出身らしい。MAN の話しをすると「いいよね。ディークは好き?」ああ、すみません。プロ中のプロに振るトピックとして相手を間違えました。
当日券・クロークの有無など未確認の情報が多いため、会場に入れるかまだ確約されたわけではない。目的地は Highbury & Islington。連日どうしてこの駅に来ているのだろうか。地下鉄を出て目と鼻の先にある The Garage へ到着。
当日券は…あった!£45。通常バスキングに出れば数十ポンドは稼げるため、あまり大金は持ち歩かない。だが Stevie から貰った£20のお陰でギリギリ支払える。え。現金ダメなの…? Stevie のカードで支払って貰い現金を彼に支払う。クロークは…ある!2つの荷物で£4。
GUINNESS で乾杯すれば残り所持金はジャスト£1。奇しくも着て来たTシャツは RED。完璧すぎるぜ。こうして突如と来れてしまった MAGMA 2022年ツアー。ちょうど前座のバンドが終わり、これからセットチェンジをせんとするタイミング。
3列目くらいの位置まで行けて期待も高まる。隣の方は KING CRIMSON 50周年ライヴ at Royal Albert Hall のTシャツを着ていて、同じ場所に居たよなどと話す。
21時過ぎにライヴスタート。徐々にメンバーが入場し、Christian Vander が姿をあらわすと大歓声。現在74歳の現役ロックドラマー。1音目から満場一致で言い表わせる MAGMA サウンドが鳴り響く。(恐らく)新曲と思われる “Walomendëm warreï” から始まるのもアツい。
一連の “プログレバンド” が持つ『圧が強すぎる』共通印象は MAGMA が代表例ともされる。長尺の楽曲ながらハードな演奏が転がり続けるため、ライヴだと少し疲れてしまったのが正直な印象。特に本編ラストの “Ëmëhntëhtt-Ré” は3部構成・30分を超える超大作であり、オーディエンスとしても修行のような時間であった。
MAGMA at The Garage 17/06 #STDRUK2022 pic.twitter.com/JeINsJrwLK
— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) June 18, 2022
しかしそれを引き替えても素晴らしい。開始早々からモニターのバランスが悪かったようで、様々なジェスチャーを使ってドラムからスタッフに指示をする。メインヴォーカル2人とコーラス4人を従え、左右のキーボードも歌に加わるサウンドを経て中盤、Christian Vander が立ち上がりマイクを持つと…何度と耳にしてきたあの声だ。Rind-ë とKobaïa をミックスしたようなアレンジがあり、浮遊し続ける宇宙で聴き覚えのあるコーラスワークが飛び交う。
Christian Vander が使うドラムキットが小口径なのは、彼のドラミングが極力ジャズに近しいからなのであろう。同じキックをコントロールしているとは思えない・アンビエンスを中心に捉えた緩急あるダイナミクスと独特のグルーヴ。そして常に感情が渦巻き、苛立ちなどの感情が強く表情に現れる。50年以上 MAGMA の看板を掲げ、30分以上に及ぶ楽曲を演奏し・今も尚『怒り続けることができる』のは、彼らが現役であり、プログレッシヴ(前進)し続けている証拠だ。
アンコールは “The Night We Died” ドラムレスの楽曲を最後に持ってくるのも衝撃。Christian Vander 生涯の仕事が MAGMA であり、同じドラマーとしてその瞬間を共有できたことが何よりも嬉しい。こうして「フラッと向かった」MAGMA 初体験は、今朝のメッセージから始まった物語を経て完結するのであった。Life is progressive.
22:45。あれ?行けるぞ。ライヴを終え、すぐに地下鉄に乗って Stevie と共に Tottenham Court Road へ。23時過ぎに “Sevilla Mia” へ到着。ZURITO のライヴはまだ第一部が始まったばかりであった。
Hugo も来てるじゃん〜。日本で買った着物が似合う。
今日は Jamie も含めた4人編成での演奏。休憩を挟み、第二部から飛び入りさせてもらう。 MAGMA のライヴを観たあとにスパニッシュミュージックを演奏する日が来るとは思わなかったな。この日も会場は随分とヒートアップ。合わせようとしなくても自然に寄り添ってくれるベースが凄いな。
終演後 Stevie は帰路へ。また会おう。今日の経緯などを話題に飲みながら談笑。”Hilarious” を覚えたので今後は使っていくぜ。George の「陽気な」日本語読みが頭から離れない。
26時過ぎに移動。寄り道しながら、よそ見をしながらノロノロ歩いていくのもまた楽しい。
Oxford Circus。ロンドンのど真ん中とも言えるこの場所でのバスキングがメインであり、多くの人が立ち止まってくれた5〜6年前。今やったら一瞬で止められそう。でも、意外とやってみる価値はあるかもしれない。
わちゃわちゃ遊びながら4時頃に帰宅。
家の余りものをお互いミックスした食事を済ませて就寝。明日は RAT RECORDS へ行きたいな。
それでは、続きはwebで。チーン。
£23
season1-15
【まあMEGADETHだけどね編】
盟友とのラジオが始まりました。毎週月曜日朝7時更新。
こんにちは。
以前、渋谷Ruby roomでライブ拝見しました。
先週、イギリスにマグマ観に行きました。
私は2日目のロンドンと3日目のマンチェスターを見ていました。
ロンドンでバスキングされていると知っていれば行ったのですが、帰国してこちらの投稿読んで知りました。
日本でライブされる際はまた見に行きます。
コメントいただきありがとう御座います。
なんと1日違いで同じライヴを観ていたのですね!
素晴らしいです。
是非また日本でもよろしくお願いいたします?