というわけで #STDRUMS の新作MVが公開となりました。
原昌和(the band apart) をゲスト・ベーシストに迎えた、ネジ倉庫での “一発録り” 記録映像。
“HAISEN SESSION” 以来、おおよそ2年振りの映像作品です。
2021年6月、とある倉庫での『レコーディング実験』が予定されていた。ドラムに立てるマイクの本数をアンビエンス・キックの3本のみに絞り、MTRではなくカセットテープにダイレクトレコーディングする。これは録音後は編集はおろか、ミックス作業すら不可能なことを意味している。この辺りの詳細は本作が音源としてリリースされる際に触れることとしよう。
原ちゃん(出会ったときの流れで “ちゃん” 付けになってしまった) とは何か一緒にやりたいと思っていたタイミングで、ライヴでも演奏してきた “SATURATIONS” はベーシストと録音してみたかった曲だった。本件の場所でレコーディングしたい旨を伝えると快諾。寒過ぎず暑過ぎずな絶妙な気候のなかで、自由な発想と可能性を追い求める時間を過ごすことができた。原ちゃんには音源を送ったのみで、事前リハーサルなし。当日一発録音で見事キメてくれた。
カセットテープ本体やデッキなどを貸し出してくれた mashow さんは、この録音作業中に iPhone を接続できるスタビライザーと固定カメラの2本を用いて『レコーディング記録』として映像撮影をしてくれていた。すっかり音だけのことを考えていたため、私には発想すら及んでいなかった粋な計らいがこのあとの展開を紡いでくれる。
(レコーディング中の数少ない写真…片付け中のカミくん、mashowさん、シセキ)
いままでとは違うチームでの『実験』という名目から始まった本作は、徐々に作品として具体的な形を帯び始め、折角だからとジャケットデザインにも新しい風を取り入れようとしていた。しかし運悪く、ご紹介いただいた方々とはフィーリングの差異やスケジュールの突如変更などが重なり悉く頓挫。音源そのものは昨年9月に完成しており、リリースに漕ぎ着けない歯痒い状況が続いていた。
気持ちが落ち着かないそんな日々のなかで、ふと例の『映像』のことを思い出した。素材数としては決して充分とは言えないが、ひょっとしてミュージックビデオが作れるのではないか。と。早速丸山さんへ相談。素材を送った翌日に完成したのが本作となる。FASTER THAN THE SPEED OF LIGHT だぜ。
前途している通り、カメラ割りはされているものの音と映像は全て一発録り。ワンテイクで進行していく途中、スタビライザーに発生する不具合の瞬間を逆手に取り “The Song Remains the Same” のようなサイケデリック性を誘発する作りとなっている。ブログの記事がランダムに表示されるシーンはこの時期のツアーを経て倉庫へ辿り着いた旅の経緯とリンクしており、丸山さんは知る由も無いというのも脱帽だ。
自分の楽曲のベースラインを人に弾いてもらうのも初めてで、同じ音階をなぞっているにも関わらずここまで印象が変わるのは人力ループの面白さ、そして原昌和が持つフィールの影響そのものである。こんなにも “The talking drum” なフレーズになるとは自分自身ですら予測していなかったし、ラストシーンは完全に “アレ” でしかない。
【NEW VIDEO】#STDRUMS – SATURATIONS
原昌和(the band apart) をゲスト・ベーシストに迎えた、ネジ倉庫での "一発録り" 記録映像。編集:丸山太郎https://t.co/VeYycsG2uH
— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) April 10, 2022
皆さまの多大なるご協力を経て完成した、棚からぼた餅よろしくの本作。敢えて音質に触れていないのは音源作品を楽しみにしていてもらいたいからこそ。とうとう遂にジャケットの制作も進み始め “ドラムソロ作品” として想像を遥かに上回る仕上がりが期待されている。それまでは「春の知らせ」と呼べるこの記録映像作品を楽しんでいただると嬉しい。
それでは、続きはwebで。チーン。
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