METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

Daily

G.Garage///『リチャード三世』完遂。#GGリチャード

投稿日:2022年2月7日 更新日:

予想していた通り、2022年の初月は存在しないかの如く過ぎ去ってしまった。
G.Garage/// 第三回本公演
『リチャード三世』
1月27日から31日、5日間の公演を無事に終演いたしました。
ご来場頂いた皆さま、まことにありがとう御座いました。

【MACBETH TO MORI 〜野外即興朗読シェイクスピア劇〜】を100倍楽しめるようになるブログ

個人的に思い返せば一昨年の12月に収録した『MACBETH TO MORI』
そして昨年末、Bi-syu との『RICH FOREVER TRADITION 2021』
架け橋を繋いだ集大成が今回のリチャード三世でした。

河内大和・横井翔二郎・副田整歩。
この3人が一緒にいるだけでもう面白いのに、河内さんが信用する俳優が17人も集まる。
どんなボーナスタイムよ。

今作は1月上旬から2週間の稽古で出来上がって「しまった」。
朝から晩までシェイクスピアで頭がいっぱいの濃密度。
稽古中からふとした雑談まで、常に衝撃が訪れる瞬間を孕んだ日々。
振り返ると昨年末の『RICH FOREVER TRADITION 2021』が3ヶ月前くらいの記憶のよう。
創造性に溢れる毎日は、3日分の時間を1日に凝縮していたようでした。

これだけ輝かしい人々が集まっているのだから台本合わせだけでも面白いに違いない。
質感を共有したく楽器演奏がない日もなるべく参加。
同じ空気を吸えているだけで楽しいと終始徹底して思える現場でした。

それぞれ俳優たちの活動するフィールドの広さも見どころの1つ。
一方で例えば翔二郎とアッキー、野村龍一と白倉さん。
『VIBESが近い人同士』が近しい人々がいるのも面白い。
近い帯域の音を重ねるように、能力の層の厚さを深めることで強度が増す。
多岐に渡る性格が窮屈な思いをせず、自由な発想をぶつけ合える懐の深さがありました。

音楽制作は楽器隊2人と河内さんとで、12月上旬からスタジオ作業を開始。
河内さんのイメージを凄まじい瞬発力でメロディーに変換できる整歩さん。
クラシック・現代音楽の土台は私とは真逆と言え、スタンスと方向性のみが合致する。
いざとなれば稽古もせず、その場の即興でもそれらしい「形」にすることは容易。
その上で「形」以上の新鮮な衝撃をフロアと共有したい。
仮縫いを一度ほどいて、その箇所に合うデザインを生地から選び直すような感覚。
本来2回のスタジオ予定は計5回に増え、俳優の力も借りてワークショップのような形で進行。
(追加のスタジオ日が誕生日で最高な新年の滑り出しでした。)

アヴァンギャルドでありながら王道、ミニマルでありながら忙しない展開。
理論的深度とロックの単純さ両方を持ち合わせる音楽になったと感じております。
雨音から深海へと潜り込む印象までもSEを使わず、全て生演奏でのご提供。
非常に実りのある産みの苦しみでした。

舞台上では俳優たちの声を拾うマイクに楽器隊の音が被らないよう透明の遮音材を設置。
生音を直に捉えられない状況に加え、サックス(他の楽器)との舞台演奏も初めての経験。
「自分の演技に集中せず、相手に与えることに集中する。」
千穐楽の全体挨拶で俳優たちに伝えていた言葉は、まさしく演奏にもそのまま当てはまる。
アンサンブルと音量コントロールの大切さを改めて感じられる機会となりました。
モニター環境をしっかり作り上げることもテクニックの1つ(やれてない)。

本読みの合流が功を奏した(?)か、今回はイーリー司教以外にも台詞を獲得。
(これまでの舞台演奏歴を振り返るとイーリー司教はこれで3回目!)
ブラッケンベリーの台詞を語り手のスタンスで喋らせてもらいました。
右手にハンドマイクを持って、リズムを出しながら喋るのは初体験。
ラップとも歌とも違う、言葉を伝えるという新しい可能性。
次回あれば、更に長いセリフに挑戦したい。

また今回は演奏・出演の他にTシャツ・ステッカーのデザインも担当(志願)。
ご購入いただいた皆さま、本当にありがとう御座います。
#STDRUMS で培ってきたデザインをこうして別の作品で活かすことができて嬉しい。
会場〜開演、休憩中、終演後のBGM選曲も担当いたしました。

舞台装置がシンプルであればあるほど、役者が目立つ。
そう願っても理想が実現するとは限らず、主宰のエゴにもなりかねない。
『願い』に応えられる、提示するパワーを持った俳優たちとの信頼の証。
立ち姿に徹底して拘り『カッコ良さ』の手綱を締め続けた舞台上。

そう、今作には多くの『願い』が込められているように感じている。
1つに河内大和が『やりたかったこと』への願い。
それは1つに、出演する俳優たちへの『願い』でもある。
今回の配役は登場人物の性格と、実際の人間性を踏まえて決めたのだという。
『こう演じてほしい』と同時に『こういう演技ができるようになって欲しい』という熱意だ。
エンターテイメントのため、表現のため、そして出演者のためにも作られた舞台。

そんな純粋な気持ちは『パンフレット付き』という仕様にも溢れている。
このクオリティーの “商品” を、配っちゃダメだって!笑。
いや、最高。やりたくてもなかなか真似できないよ。
付加価値を以って満足度を上げる姿勢は、自身のイベント方針と同じだ。
河内さんは本当に、ただ『良いものを観て欲しい』という気持ちのみで動いている。

「ああ マーガレット マーガレット」
嘆きと捉えられる一文を『気付き』として解釈する。
「ともし火が青く燃えている」
心情に迫る傍白を実際の発見として捉えてみる。
400年以上前に生まれた戯曲の翻訳を日本語の言葉遊びで扱う面白さ。
読みながら・演じながら、セリフが新しい発見へと導いてくれる。

「思い切って悪党となり」リチャードは自らを奮い立たせて悪の道を歩み始めた。
故に「それは認める」と、アンを口説き落とすときにはヘンリー六世王の殺害を承認。
母との無視できそうな痴話喧嘩も「ではどうぞ」と喋らせてしまう。
ヘイスティングスには箸にも棒にも掛からない言い掛かりを勢いで押し付けて処刑。
市民たちを巻き込んでドリフのコントよろしくなやり取りで玉座を手に入れる。
ひょうきんな男が『演じること』をすればするほど、リチャード三世になれる。
その心の内にある鉱物は、全て他者とオーディエンスのために燃焼し続けていた。

演劇を愛する純粋な俳優ばかりが集まった最高峰の座組み。
誰もが嘘なく、役者本人でありながら登場人物として板の上で生きている。
衣装も与えられたものではなく、俳優の中にあるイメージを最優先してのジャッジ。
『こうしたい・やってみたい』から生まれる可能性を取りこぼすことなく、実験と調整を反芻。
全ての協力がポジティヴなエネルギーとして働きかける自発的・能動的な環境。
愛情が必要以上の煽りを招いてしまったときも、仲間が助け支えてくれた。

好きなものだからこそ、理解していて、詳しくて、愛情を注げられる。
ラストシーン、リチャードが1人で駆け回る姿を横から見て『好きの強さ』を再認識した。
19人が総出で岩を転がし、最後の独白へと繋げていく。
原動力となる根幹に触れられた今公演。
今後の活動にも凄まじいモチベーションとなる夢の時間でした。
このメンバーを集め、演出・美術・主演をやりきった河内大和へ、ビッグ・リスペクト!
DVDリリースも予定されているとのことで、もうぞお楽しみに。

こうして19人は、それぞれの役目へ散っていく。
それは、お互いが更なる進化を遂げて、また再び集まれることを願って。
6年前に初めて河内大和と共演し、横井翔二郎とは今や大親友。
6年前とを比較する必要がないほどの現実は、お互いが真摯に取り組んできた結果。
新しい発見、新たなる出会いと、次に繋がる架け橋。
ロックがあってもロールしなければ意味がない。
これからも巻き込んで、転がっていきましょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「声を大にしては言いにくいけど」
「来て欲しいとは言いにくい世の中ですが」
こういった枕詞を使った宣伝・ご感想をチラホラとお見受けした。
私は、こんな世情だからこそ人を集めて、公演を実施しなければならないと思っている。
人を集めさせず営業時間を短縮させる無能な決定。
掃除が行き届かない冷蔵庫の裏の汚れを確認をするような検査。
文化の衰退は眼中にも置かず、進歩しない政策を続けて丸2年。
頼れないのだから、自分たちで証明していかなければならない。
劇場・ライヴハウスが安全(日常)という成功体験をアピールしていかなければならない。
だからこそ、この5日間に集まってくださった皆さまへ、心より感謝と尊敬の念を表します。
冬は体調を崩しやすいので、どうぞお身体にはお気をつけて。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

31日の千穐楽が終わった直後、電話越しに報告を受けた。
インビシブルマンズデスベッド・HEREの元ドラマー、宮野さんが亡くなった。
高校生の頃、最もライヴを観に行っていた、つまり最も聴いていたドラマーの1人。
HERE(&復活以降のインビシ)を脱退して、私がサポートで参加する運びとなった。
インビシは復習しなくても、ライヴ版かスタジオ版かで分けられるくらい叩ける。

持ち前のフットワークで当時ROSEROSEのライヴも観に来てくれたことがある。
「セッティングを早く終えて、不用意な音は出さない方がいい」と言ってくれた。
あのときの教えは今でも胸に置いている。
不思議な縁での再会もしばしば。渋谷サイファーに飛び入りでラップしてくれたり笑。

生きたくても生き長らえられない人生がある。
だからこそ、今を生きられる人は生きていかなければならない。
今公演を終えて生じている凄まじい『ロス』とが入り混じって大変です。
そっちでもMJの完コピで沸かせまくったってください。あとは無敵モードよ!
気持ちを分かち合ってくれた友人たちにも多大なる感謝を。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それでは、続きはwebで。チーン。

2022年3月2日(水)
渋谷RUBY ROOM
RICH GOLDEN STREET vol.4

#STDRUMS
BLONDnewHALF
佐野アツシ(BIRUSHANAH)
TSUKA (TSUKAMARO)

OPEN 18:30 / START 19:00
入場無料! / 2drinks order

TOKYO JOURNEY RYTHEM #STDRUMS “RICH FOREVER SEMINAER” 番外・大阪汁上陸編 心斎橋・緑橋で繰り広げられる平日の夜を真空パックで渋谷にお届け。日常を日常で覆せ。これが関西からの回答。入場無料もリッチフォーエバーやで。

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