ロックンロールは破壊だ。
本質を知る人にほど深く愛され、理解されない人には無縁の文言。
例えばTHE WHOのように、楽器を破壊する表現方法は現実的でわかりやすい。
しかし音楽として『成り立つもの』へ、なぜ真逆の言葉が住み着くのか。
THE BEATLESは如何にしてロックンロールと定義されているのか。
意義と精神世界の答えを探す旅路が仙台へと続いている。
20201120 #STDRUMS + sugarman + 地底人 + 晴山 〜RICH FOREVER AUTUMN JAPAN tour 2020〜 仙台FLYING SON
11月【RICH FOREVER AUTUMN JAPAN tour 2020】で訪れたFLYING SON。
サポートでの来訪は重ねていたがソロでは初めての仙台。
そのとき共演した sugarman と忽ち分かち合い、また近々会おうと約束した。
この手の口約束は日常茶飯事。
『近々』は半年〜1年後と仮定し “A” としよう。
翌月、sugarman から今日のイベントへお誘いがきた。
想像していた道筋の “A” は崩れさり、3ヶ月後の “B” が誕生。
この時点でロックンロールなのである。
彼らと私の『近々』は、強くシンクロナイズしていた。
23日、火曜日祝日。
荷造りは前日に済ませ、朝食にサラダを用意する。
春の息吹を感じさせるものの、まだまだ革ジャンが活躍する季節。
東京駅発のバスは久し振りの3列シート。
席が隔離されているため実に快適。
パソコンを持ってくれば諸々の作業も進められるのだな。
一片のチョコレートが旅の盛り上げ役だ。
惜しくも解散が発表されたDaft Punkを耳元に預けよう。
メールに次ぐメール、英語での連絡も済ませてひと段落。
先日のハイテンションフェス2021のアーカイブを視聴しながら北を目指す。
途中のサービスエリアでは雪が散らつく場面も。
予定より少し早い15時半前に仙台駅へ到着。
猛威を振るう強風で、流石のレルレも寒い認定を発行せざるを得ない。
この前の北海道の方が全然暖かい。
宮城着、即半田屋。
前回のツアーですっかり心酔。
好きなものを好きなだけ選べる。
シンプルな構造だがアイディアが深い。
ほら、ロックンロールはここにも潜んでいる。
黄色い壁のFLYING SONへ到着すると sugarman のサウンドチェック中。
次第に集まってくる本日共演者の皆さん。
再会と再会。顔馴染みの同志が今夜に向けて照準を合わせている様子が伺える。
ブッキングではなくバンド企画の、よい焦燥感が早くも会場に漂っていた。
今夜は面白いことになるだろう。
その予測は会場オープン早々から的中するのであった。
バンドの転換中には sugarman メンバーによるDJが挟まれる。
開始からフロアがDJブースに注目され、熱心に音楽を聴き・知ろうとしているのだ。
敢えてこの言葉を使うとすれば、CDを流している「だけ」のDJ。
そんなに盛り上がるのかね!沸き続けるフロア。
オススメの音楽情報を会話のなかで交換する。
そうさ、本来そうあっていいのさ。こうあるべきなのだ。
DJがDJとしての仕事をこなし、1番手の imieda へとバトンタッチされる。
トリプルギターと気怠いヴォーカル。
音の投網、まさしくシューゲイズ・サウンド。
カミテギター(SUB-POPセーター)氏のトリッキーなプレイが印象的。
どうやらライヴハウスでの演奏は今日が初めてとのこと。
最後にやった「長い曲」が一番好きだった。紡がれる物語が非常と伏線回収。
2番手に Broken Shinonome.
リハーサルから気になっていたバンドだ。
定位置でのバンド編成でドラム・ヴォーカル。
控え目な自己主張と、心の内に住んでいる表現欲求が交錯している。
「何かやらかすのではないか」そんな期待感を匂わせるキケンな3人組。
フロアの信用を裏切るように応えた、最後の曲。
ロックンロールは、破壊だ。
我々の願いを聞き入れず、最も求めていた衝動をしてやらかした。
(言うまでもなく、楽器や会場のフィジカル的な破壊ではない。)
言葉で置き換えられないからこそ、表現と精神での破壊活動なのである。
#STDRUMS は3番手。
セッティングの時点でフロアが味方に付いてくれていることが緩やかに伝わる。
馴れ合いではなく、良質なイベントが生み出す肯定のエネルギー。
前のランナーから受け継いだバトンには会場の空気感と書かれている。
ともなれば、Broken Shinonome に応える必要があるのだ。
私の音源再生機器はシステム上、曲順を急遽変更することはできない。
常に事前に組まれたセットリストを以ってステージ本番を迎える。
今日は奇しくも最後の曲に入る前に隙間があり、尚且つ別データを持っていた。
演奏中にデータを入れ替え、急遽 “21st Century Schizoid Man” のカバーを演奏。
人の褌ではあるが、唯一歌が入っている曲。
歌わなければならない衝動に駆られた。
イベントへ向けて私なりのアンサーとなっていれば幸い。
King Crimson – 21st Century Schizoid Man (Covered by #STDRUMS)
昨夜の仙台。Broken Shinonome のライヴに触発されて「私も歌う必要がある」と本番中に急遽セットリストを変更。久し振りに本編にて解禁しました。何打数くらいあるんだろう?▼FULL▼https://t.co/sfmVqIXWID
. pic.twitter.com/UNImG1d5K4— #STDRUMS ユージ・レルレ・カワグチ (@rerure666) February 24, 2021
トリは主催の sugarman。
当初 #STDRUMS を最後にと言われたものの、そこは企画者がやるべきではと提案した。
世情でのキャパシティではあるが、ほぼソールドアウトに近い集客。
マイペースに進行するもんちゃん、ハイフレットを打ち込むヒロヤ。
バンドの接着剤となるカツヤと真剣に叩く山田くん。
この日を作り上げた4人が、フロアの盛り上がりに独自の解答を持ち寄っている。
持論だが、ステージに立つ者とはアタリの日を作るために存在する。
上手い・下手・自己満足・営利目的。
こういった付加価値は直接的には影響しない。
観て面白かった・観てよかった、来てよかった。
こう思えるステージが作れれば勝ち。
少し踏み込んで書けば、チケット代の価値に見合う1日になれば『アタリ』だ。
曲のイントロが始まるたびに熱を帯びる、下心がない純粋な空間。
地元の会場が音楽を育み、志を持つ者たちが共有し伝えようとしている。
音楽とは日常生活と密接な関係があるため、趣味としての立場が霞みやすい。
誰しもが音楽を聴き、気軽に好きと言える。悪いことじゃない。
ステージに立つ側も同様、ある程度どんな人でも演じる形を取れる世の中となった。
2月23日、仙台FLYING SON。
音楽好きが集まり、音楽が好きでいて本当によかったと感じた、大当たりの夜である。
情報の波に呑まれスレきったバンドマン&リスナーたちよ。これが音楽だぜ。
終演後は物販。
東京で出会い現在は福島在住の千葉ちゃんは今日も来てくれた。サイコーだな。
出演者ともすっかり仲良くなり、今日の余韻を分かち合う。
楽しい時間とは本当にあっという間に過ぎていくのだな。
自然とリズムがいいバンドが揃うのも実に面白い。
ギリギリまで止まないDJ。
音に合わせて体を動かす楽しさを彼らは知っている。
——
明くる24日。
重い頭を抱えてお世話になった宿を出る。
WE WILL RETURN!
二日酔いの身体にカレーが沁みる。
引越し先は半田屋に決めた。
老舗らしい喫茶店でバスが来るのを待つ。(コーヒー美味!)
というわけで2日間しっかりとお世話になった佐々木店長。
守ることを守って、あとは出来得る限りの自由を楽しみましょう。
次は6月頃かな?
このペースで仙台に来訪する理由は、ライヴを体験すればわかります。
帰りのバスも快活そのもの。
寝不足も祟り、気付けば東京駅へ到着していた。
sugarman、FLYING SON、お集まり頂いた皆さま、ありがとう御座いました!
次回は私もDJ用にCDを持っていくと心に決めた仙台遠征でした。
週末へ向けての準備に気持ちを切り替えよう。
それでは、続きはwebで。チーン。
渋谷RUBY ROOM
RICH BUDDIES vol.3
#STDRUMS
RUINS alone (吉田達也)
OPEN – 18:00 / START -18:30
ADV- 1500円 (+1D) / DOOR -2000円 (+1D)
※開演時間変更にあたり、当公演は【対面交代式ノンストップギグ】となります。1台のドラムに向かい合ってセッティングし、1曲ずつ交代して終演(20:00)まで演奏を行います。
▼予約▼
https://www.rerure.com/blog2/ticket
[…] れば」いかなる暴走や破壊も歓迎されることを Broken Shinonome は知っている。観ていてずっと楽しいバンドはなぜだろうか。わからないところに魅力がある。https://www.rerure.com/blog2/archives/7829 […]