20/11/2023 (Mon)
ロンドンも残り二日間。流石に動いた週末を経て、今日はゆっくりしておいていいのだが8時に起床。「笹食ってる場合じゃねぇパンダ」よろしく、寝ている暇はない。
今日は近所で仲間たちのライヴがあるらしく、荷造りなどを徐々に始めていく。
長らく付き添ってた左のサインも流石に潮時であろう。右のCD看板もすっかりボロボロ。お疲れさまでした。(しかし、もしかして使う可能性を見越して、結局左はキープしておく)
ライヴにバスキング、全ての任務を終えたと思いきや、まだあった。疲れが残っている身体と相談しながら、偶然の産物から発展した最後の詰め作業を進めていく。隣の部屋からベースの音が聴こえる…Lluis が弾いているのか。
その Lluis は今日ライヴと聞いていたのだが、随分と遅くまでいるもんだ。聞き間違えだったのかもしれない。こちらも見切りを付けて、21時過ぎにアンプを持って Lewisham 方面へ歩き、30分ほどで The Fox & Frankin へ到着。無料だが事前予約の入店。去年貰った KANGOL の帽子は評判がいい。
続々と知り合いが増えていくなかで Axel の姿もあった。何気なく彼らの座っている場所に行くと、なにやら若干シリアスな雰囲気。「ユージ、今からバンドのミーティングをやるけど別にこの場に居てくれても構わないからな」んん??どういうこと??
なんと、今日出演の Levitation Orchestra はAxel がリーダーを務めるバンドだったのだ。そしてメンバーには Lluis をはじめ、9月のハウスパーティーで出会った人たち…。マジか!ここ Lewisham で結成された総勢14人編成のバンド。まさかこんな大所帯だったとは…。何も知らず席に着いてしまったことを詫びつつ、一気に期待が高まる。
こうして22時ごろにバンドがスタート。今日は一部のメンバーがおらず、Javi 曰く会場としても小規模な「リラックスライヴ」とのこと。これまで散々と書いてきたリズム感や演奏能力に関しては言わずもがな、Axel のコンポーズ・コントロール、そして人間性。ハウスパーティーでワイワイしていた人たちが最強のライヴを目の前で繰り広げている。
これまでロンドンで観るライヴは SNS を通じて「広めるべきもの」という、ある種の義務感を抱えていた。この街は「自分のために生きる」大切さを教えてくれる。日本での生活を振り返ると、自身よりも他人(ひと) のために動いていた。撮影するよりも自分自身が感じ、楽しむことが何よりも大切だ。ブロガー失格では、ある。
最後の曲ではメンバーがフロアに雪崩れ込み平和過ぎるモッシング。ダンスの形態の一種だ。この指示がミーティングで行われていたと思うとこれまた最高。当然アンコールが期待されたが、手違いがあったらしくそのまま終演となった、約40分のステージ。こんなライヴを無料で観れてしまうのがロンドン。
Javi にも無事 Cube Street を返却。そしてお礼に Rory Gallagher のライヴ盤。自分のために買ったが、あげたくなってしまった。ビールも全奢り、Levitation Orchestra LP も買ってこれぞ終末に相応しい。会場を出たあともオフライセンスで酒を買いたむろしていれば物乞いが寄ってくる…なんと、Javi が金を与えているではないか。
バスカーは小銭の重さを知っている。これまで Javi が与える瞬間を見たことが無かったため理由を訊くと、ロンドンはいよいよホームレスなどではない「一般人」がお金に困っているとのこと。話して理由を聞いた結果、与えるに値する相手だったらしい。
ヨーロピアンの分け与える精神は今回の旅で大きく学んだ経験の1つ。理由と意志を持って人々が集まるロンドン。自分らしくいられる国。家賃は高騰し、バスや電車も頼りにならず、喧騒にまみれ、想像を超えるハプニングばかり。だからこそ人々が助け合って生きている。 便利すぎる国は思考を殺す。
Axel はここでもトランペットを取り出し、思いのままに彼の音を紡いでいる。ふと近付いて来たかと思うと…なんと side fallen のメロディーではないか。Javi の粋な計らいに思わず涙が出た。本当に最高なミュージシャン達の輪に入れてくれて、私は幸せだ。同じ時代を生きてくれていて、ありがとう。
前後も不覚で Javi, Teresa と共に Tulse Hill に転がり込む。勿論 Rory Gallagher を聴くためだ。曖昧な記憶。振り返ると本当に写真が1枚もないのは、この素晴らしい一日が「日常」と化した証。
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21/11/2023 (Tue)
恐らく寝た(失神) のは朝方か。昼頃に目覚めて帰る準備。この景色を見るのも暫くお預け。帰りしな Javi が起きてくれて家の門を開けてくれる。もしかしたら今夜会えるかもしれないが、また会おう。
近所のレコ屋は今日も居心地よく、価格も据え置き。去年もあった気がする NEKTOR を翔二郎のお土産に買っていく。嗚呼、手持ちの現金は昨日全て使ってしまっていた。
繋がりの悪いバスを乗り継いで Catford へ戻る間、明日の出発時間の確認。15時で余裕があるのは助かる。バタつくのは性分ではn…
?
11時??
ケーブルやなにか忘れ物をしたり、ミスやトラブルの元凶は「思い込み」にある。ロンドン最終日でも我が疾患は盲信に猛進中。
帰宅後急いで荷造りを進めながら、昨日約束した Lluis とのベースセッション。実質最後の音出しが部屋での練習実験というのもロンドンらしい。借り物のベースを練習中ということで、ダブ系のフレーズを慣らしているといいフレーズが出てきたので頂く。作曲というアイディア出しの作業で、セッションはブレインストーミング。
忙しないロンドンで4時間のロスは大き過ぎる。結局予定より30分以上遅れて外出。見慣れた丘。
帰宅ラッシュに揉まれて Hermitage Work Studio に到着したのは19時。お借りしていたペダル・シンバル・USBケーブル・ネジを返却。嫌な顔ひとつせず貸してくれて本当にありがとう!機材の返却とは、これ以上に演奏が無いことを指す。
Manor House から Brick Lane は近いと思いきや意外と距離があった。お別れツアーその②は今期最もお世話になったと云える Nighty One Living Room。コナーの姿は無かったが Lawrence が出迎えてくれる。友人のトニーと1枚。日本でも会おうぜ。
OVERGROUND から地下鉄で Oxford Circus へ到着。
お別れツアーその③は大きな可能性を感じられた The Social。ソールドアウトのイベントだったが、セキュリティーが覚えていてくれていて、理由を伝えると中に入れてくれた。Tomas と Cosmo と合流。プロジェクトの話しを進めながら、今日スタッフの皆は The Old Dispensary へと行っているらしい…。
こうして Tomas はここで解散。バスで Camberwell まで向かいお別れツアーその④、追加公演はまさかの The Old Dispensary。ライヴ後のグダついた時間がもう楽しい。Javi と Teresa も来てくれて、Mitch や Ronnie らとも再会。パトリックのドラムでセッションが始まっている。
Javi とは9月に一度バスキングをしたきり、ベーシストを探しながら機会がなかった。パトリックに呼び込まれ、最終夜にセッション。ベースの Stewart。ジャムというよりカバーをなぞるようなものになったが、初めてステージに立つらしい子も参加してくれたり楽しい。すると Ronnie も参加してくれて Pixies のフレーズを元にセッション。最後に最後にドラムソロを煽ってくれて終了。やり切った。
やはり我々を繋ぐのは音楽だった。
パトリックの兄弟という Tommy とも会えて、次回の宿の可能性も広がっていく。自由空間 The Old Dispensary。
最終夜。新たに Cosmo という “ファミリー ” を迎えてのロンドンを終えた。彼からは絆としてビロードを授かる。友よ、また会おう。Javi と Teresa も付き合ってくれてありがとう。26時過ぎに Catford へ帰還。優しさに満ち溢れた、旅の終わりに相応しい完璧な時間だった…。
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22/11/2023 (Wed)
朝5時。スネアとハイハットスタンド・椅子を倉庫に預けて、6時。ドアをノックすると Hugo が起きてくれて、別れを告げる。2ヶ月間本当にありがとう!また会おう。
日が昇る前の冷え込む朝の空気と共に、Ziggy Stardust を再生するとエンドロールが見え始めた。最初来たときに全くピンと来なかった Lewisham という地名も今ではすっかり眼に馴染んでいる。
Charing Cross から Trafalgar Square を抜けて Leicester Square に乗り換えるタイミングで Space Oddity に変更。まさかこれは…。
最後の最後でロンドンの日の出を拝めるとは予測していなかった。
聖地 Acton Town にて乗り換え。各駅停車の扉が開くたびに外を見上げてしまう。
Memory of a Free Festival の語りと日の出が完璧なタイミングでマッチし、”The Sun machine coming down…” という歌詞に合わせるように車両は地下へ。Heathrow 空港に到着と同時にアルバムが終わった。Leicester Square から空港を目指す人は覚えていて損はない。小腹も空いたので駅の売店でサンドイッチを買う。
本当にタイミングとは不思議なもので、ここでキャスターの根元が崩壊。3輪状態となり、悪路はもう転がせない。
さてロンドンからのチェックインは毎度骨が折れる。オンラインチェックインをしたところで意味がないことが多いのだが、念のため問い合わせてみると…なんとすぐさま対応してくれた。スーツケースは重量内だったが、手荷物が2kgオーバー。「ラップトップが入ってるの?本当は10kgまでだからね」と甘く見てくれたスタッフの方に感謝。
こうして10分足らずでチェックインを完了。なんてこった!
やることは1つしかない。
空港の2階へ向かうと…
ああ。
だから、私はロンドンに来ているのだ。
音楽。カルチャー。人。そして、空。
意図せず迎えた午前発の便は、最後の最後に最高のご褒美を用意してくれていた。
どうせ美味しくもないだろうサンドイッチを開けて天を見上げる。
…え!
…うまいぞ…!
妥協なく、美味い。Terminal 4 駅出てすぐの売店に売っている Chicken Tikka Torpedo は 1000% オススメ。このときの幸せな気持ちは忘れない。
まだもう少し時間がある。
様々な音楽に出会い過ぎてしまい、10月中は ipod に入っている王道の音楽から離れる生活にまでなっていた。ロンドンの空を前にして、いま改めてなにを聴いてみようか…。
これ以上に王道と呼ぶに相応しい曲は無いだろう。
Islands を選んだというのは、もはや恥ずかしい。
Mark Charig のコルネットが響き渡ると同時に、旅の終わりを認識した。ど真ん中も真ん中を突き刺すそんな曲は、忘れかけていた大切な気持ちを思い出させてくれた。よくやった、と、言えるツアーだったのではなかろうか。気付けば動画撮影を始めており、本当にクリエイティヴィティーが刺激され続けた旅であった。
さて、行こう。
手荷物検査を経て、ゲートへ。
チケットを通して、廊下へ。
機内へ。
RICH FOREVER – それは “Void” を指す。
窓際に移る。
え?
終わる…?
終わるの?
夜に煌々と光るアゼルバイジャン
23日、15時過ぎに東京へ到着。
ハンドル・打面・そしてトドメにキャスターを刺され、完全に死を迎えたスーツケース。約2ヶ月間、ありがとう御座いました。
事務所のリフォームは数々の重なるトラブルにより大幅に延期。こうして日本に帰ってきたもののホームレス状態。翔二郎宅に居候する日々が始まろうとしている。
一区切りついた旅。耳元では David Bowie が鳴り止まない。まだ終わることのない旅がいまも尚、続く…。
RICH FOREVER PETIT TOUR 2023
12月15日 (Fri)
三国ヶ丘 FUZZ
#STDRUMS
TSUKAMARO
ハレルヤ
コロコロボンボンズ
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET : ¥2000 + 1drink
12月16日 (Sat)
神戸 Helluva Lounge
#STDRUMS
TSUKAMARO
BOTTOM OF THE SKY
サンサンタウン
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET : ¥2000 + 1drink