昨日の悪夢から一転、快適な気候で眠ることができた。蚊は相変わらず多い。
手荷物の整理をする。数えてみると旅もあと5日。これ以上の洗濯は要らなそうである。
そして取れた歯はまたどこかへ行ってしまった。
このガイジンたちと共にいて小さな部品を無くさない方が難しい…。
Nathanがよく掃除をしてくれるので妙に責任を感じてくれていたけれども、こればかりは仕方ない。
さて今日からJaviの彼女のTereが合流するとのこと。この車内に更に1人増えるとは…。
車で迎えに行くので、機材を手元に持っておくか悩む選択。天気は怪しい曇り空。
3時間半後に帰ってくる約束を取り決めて機材は車へ置くこととした。
メイデンが頭で流れ続けながら、Nathan, BillとCentro Storico辺りをうろうろする。
中心部というのに川の水が綺麗で、水飲み場も各所に点在する。
日本食・寿司屋も多く見かける。魚屋巡り好きにとっては堪らない街だ。
さて我々はシャワー探し。ベルリンであったようなホステルに当たれるかもしれない。
情報を集めながら(Nathanはイタリア語、ドイツ語もいける)プールがあるとのこと。
到着してみると、雨で開いておらず、シャワーもお湯が出ないらしい。残念。
スタッフの1人が着ていたメイデンのTシャツに反応してくれた。
世界を繋げるIRON MAIDENは今日も健在である。
一旦諦めてカフェへ。それぞれの携帯充電をしながらイタリアンコーヒーを飲む。
昨日エリックが誘ってくれたAt the Gatesの情報を調べてみると
Bagnaticaというミラノからは結構離れた場所で行われるフェスだったようだ。
Anthraxをはじめそうそうたるメンツが揃っているものの流石に難しそうである。
エリックの連絡先がわからないため、島田さんに連絡をお願いする。
Billがこの近くでシャワーに入れそうな場所を見つけたとのこと。
自信満々な表情からは強い可能性を伺わせる。
早速地図を頼りに目的地へ向かう。
歩いて10分ほどして彼が指さしたのは…3つ星ホテル????
明らかに敷居の高そうなエントランスの受付に交渉。そりゃダメでしょ。
この辺にはホテルが数件あるから、
どこかには入れるんじゃないかという目論見だったのかな…。
お腹も空いたので、昨日Nathanがテイクアウトしたピザ屋へリピート。
アンチョビとトマト。イタリアのピザは本当に美味しい。
これは山で食べる焼きそばのような、実は環境によるものだけなのだろうか。
昨日のIRON MAIDENの話をする。
僕にとってミラノの思い出はメイデン一色となりそうだ。
Billがさらっと「ミュンヘンの思い出は留置所一色」と言って一同大爆笑。
ああいった類の記憶は笑い飛ばしてしまうのが一番である。
「予想通り」Javiからの連絡がないので、我々は引き続きシャワーを探して
中心部まで電車を使って移動することにした。
駅構内にシャワー施設があるかもしれない。
看板を頼りに歩いていると…
まさかの、エリックに遭遇。全くどんな偶然だよ。
お陰でAt the Gatesの件を直接伝えることができた。
アナディメで一緒にツアーを周りたいものです。また、会おう!
結局シャワーは見つからず、また移動中にJaviと連絡が取れたようで、
この中心部で合流。別れてから5時間後の話である。
これからのスケジュールについて話し合い、
今夜ミラノでバスキングをしたのち、フランスはLyonへ向かう計画となった。
また彼らは昨日のバスキングが結構ハードだったようで、
#stdrumsのみで、昨日UNDERGROOVELANDがやっていた広場の外へ向かう。
予想通りここでは止められることなく反応も上々。
様々なタイプの人が話し掛けてくれるのが面白かった。
#stdrumsのCDがないぶん、フライヤーを沢山持っていてもらえた。
最終的にアンプのバッテリーが切れ、約2時間のバスキングを終える。
Nathan, Billも最後まで楽しんでくれてよかった。
カッコいい写真も!BIG THANK YOU!!!
英語が喋れない、怪しいパラディドルができるおじさんを横目に皆でビール。
裏側にあるPalazzo Realeでは数種類の展覧会が行われているらしい。
散歩がてら覗いてみると…なんとEscher展もここではないか。
しかも開催中とのこと。ポスターにあった"GIUGNO"とは6月の意味だったのである。
更に更に、土曜日の今日は22:30までの開催。現在20時。
こんなチャンス他にあるだろうか。
メンバーも今夜の出発に強い意欲がないらしく、明日の朝からパリへ目指すことにし
今夜はミラノで宿泊となった。
というわけで、まさかのここイタリアでEscherと対面できることとなった。
日本・出身地のオランダはDen herrに続いて3度目である。
http://www.rerure.com/blog/diary.cgi?no=333
僕にとってEscher最大の魅力は
ただでさえ描くのが難しいものを版画・リトグラフで作ってしまうところである。
最初期の作品はまだ理解の範疇にあるものの、
気付けば才能の塊が視界と五感をこれでもかと揺さぶってくる。
序盤には風景画を中心に、段々と正則分割を利用した作品が出始め
中後期の作品と対面したときは、打ちのめされため息しか出てこない。
音楽の符割りと非常に近いものを感じる。
メタモルフォーゼはユニゾン・ポリリズムを経て段々と変化していく曲そのもの。
天才に天才を重ねた理解不能の超人。
代表作"Day and Night"は家にポスターを貼っているので、
妙な親近感と共に、インクの乗り方やリアルなサイズを脳内に叩き込む。
今回特に感銘を受けたのは"Inside st.peter's".
イタリアはバチカンにあるサンピエトロ大聖堂。
夜のローマシリーズを経て製作された、線と影による造形。
線の向き・影の多さの微かな変化でここまでの立体を表現できるとは。
このアイディアこそがEscherの真髄。そして木版画。脅威である。
KOLOMAN MOSERや葛飾北斎の影響について書いていたり、
正則分割の作り方をパネルを触って体験できたり、
Belvedereの階段付近にいる人の真似をして写真を撮れたり、
遊び心も多く満足できる展示内容でした。
初めて見る作品も多く楽しめました。
ローマに大きな影響を受けているEscherの作品を、
イタリアで見れた価値はかなり大きかったです。
"my work is a game
a very serious game"
22時頃に退館。喉の渇きに空腹。体力を使い切ってしまった。
広場の中心でメンバーと合流。近くに車を停めているらしい。
そして今から、Nathan念願のキャンプへ向かうことに。
イタリアでは至るところに水飲み場があるので、
大量の空のペットボトルを持って水汲みへ。
水道水が飲めるか定かではない・買うには高い水はタダで手に入るのは貴重だ。
夏日というのもあってか水飲み場は人が絶えない。
隙間を狙ってちまちまと水を汲み、全てを満タンにして車へ戻る。
この間、一緒に向かったJaviとTereはまた気付けば何処かへいなくなってしまう。
僕はJaviの発想力とユーモア、そして考え方にはとても強く尊敬していて、
彼はよく「年齢はナンバーに過ぎない」と言っている。
しかしこの旅で、それでもやはり年齢は影響するのではないかと感じてしまう。
守れない時間・約束。突拍子もない行動。
若さ故の自由さ。周りが支えてくれているから振る舞える自由。
勿論前提に音楽があり、お互いの尊敬があるからこそ付き合っていける。
そしてこういうことを考えるようになった自分は…おっと誰かが来たようだ。
中心部を少し離れた道中で食料を買いだそうとするものの高い。
結局そのままストレートにキャンプ場へ到着。
受付を済ませて(パスポートを預けるシステム。怖いので別の手段を取ってもらった)
指定の番号のポイントへ車を停める。
バーにはゲーム等があり、奥ではテクノパーティー?が行われているらしい。
テントを組み立て始める快活なNathan.キラキラした眼が眩しい。
僕は早速バーへ向かう。プラスチックカップのビールで€4.5。こんなもんでしょ。
泡が切れてしまいもう少し多く注いで欲しいと頼むものの、ボスがうるさいから!
といった理由で断られる。この人とは仲良くなれそうだ。
ビールを飲みながら念願の野外調理。
ミニコンロを使ってパスタを作る。ここもNathan料理長にお任せ。
コーラとワインを割ったカリモチョを飲むべく、再びバーへ氷を買いに行く。
どうやら閉店のタイミングだったようで、本来売る氷をこっそりタダでくれました。
瓶ビールも買って戻り、ゆっくり飲みながらアンチョビ・トマト・チーズのパスタが完成。
これこそキャンプの環境効果!実際Nathanの腕前もお見事。
眠いといっていたJaviもお得意の前言撤回。皆で鍋を囲む。
向かいのテントから騒がしいと注意されながらも、無事に瓶ビールを飲み干す。
明日は午前中からパリへ向けて出発なため、
混み合うことを想定して深夜にシャワーへ入り眠りに付くのでした。
それでは、続きはwebで。チーン。
€95.4