ボンゾの命日の二日後。
それはクリフバートンの命日でもあり。
マイルスの死ぬ前日でもある。
9月27日 渋谷VUENOS
渋谷サイファー主催
【渋谷ST MUSIC FES VOL零】
お越し頂いた皆様、本当にありがとう御座いました。
渋谷サイファーでイベントをやろうと決定したときに
メンバー各々この日に向けたテーマがあったかと思いますが、
まずはメンバーのバンドが出演したら面白いと
ローレンスのジャズバンドKYJB.
そしてデスメタルバンドANOTHER DIMENSIONが決まりました。
この時点で僕のテーマは「異文化交流」でした。
そしてお誘いさせて頂いたのはVVORLDとHorse & Deer.
渋谷サイファーのメンバーは着々とラッパーを集めてくれました。
おいおい…絶対面白いじゃないのよ。
中津川で記憶を無くした翌日にいよいよやってきました。
二日酔いを超えて体調不良で迎えた927.
開演ギリギリまでトラブルも重なり何ともイベントらしい瞬間が続く。
第一部ショーケースが開演。
若々しいエネルギッシュなScreech in2 the Rain.
卓越したジャズファンクを聴かせてくれたwonkと続き
Horse & Deerが出てきた瞬間。目論みは現実となりました。
初めて見る方々に浮かぶクエスチョンマークの数々。
ヒップホップとは真逆の、リリックを無視して轟音のみを楽しむ作業。
これでした。皆にとって初めてのハードコアを見せたかった。
しかしステージは間違いなくピース&ハッピーに溢れており、
そのエネルギーは拙いながらもフロアにも伝わっていた様子。
「全て上手くいくスイッチ」が押された瞬間、フロアからは拍手があがっていました。
切実に歌い上げてフロアを取り戻してくれたABERIKAちゃん。
NATURAL VYBZのテクニック・ユニークさにはバンド勢も釘づけ。
Leoくん、掌幻のいい意味で「ヒップホップらしい」ヒップホップに我々も身体を揺らす。
そのまま続くMCバトルに初めて見る人々も興奮していました。
これだよ!!やりたかったことは!!
ROSEROSEのときに企画してたキルユアセンスでも
imamonとSxOxBをぶつけてみたり、転換中に即興ラップユニット「ナユタ」を入れてみたり。
お互いがお互いの新しいものを体感できる時間を作りたかった。
まさかここに来て、理想形のイベントを開催できるとは。
MCバトルが終わり、転換中から「イヤな予感」しかしないVVORLD.
極悪極太サウンドがステージから放たれると、フロアではモッシュが発生。
それを、なんのことかわからない人が制止する。
叫ぶ人、笑う人もいれば嫌がる人も、シラけている人もいる。
これ!これなんです。
感情が抑えきれなくなって身体が動いちゃうのがモッシュですよ。
だから、止める人がいてもいい。後はすべて空気が決めてくれる。
予定調和のモッシュなんてクソくらえ!
ステージからは轟音が一向に鳴り止まない。最高でした。
んで次に始まるのがKYJBだもんなぁ。
唯一の共通点は、音楽であること。
それだけでいいのをここにいた多くの人が感じられた筈。
ドラムがロックしてました!
そして我々アナディメ。
これまでの進行のお陰で、もはやホーム・アウェイの間隔、
そして感覚は全くなくなっていました。
ボーダレス、壁が崩壊した瞬間。
スウェディッシュデスメタルを真剣に聴いて下さった皆様ありがとう御座いました。
反応もとてもよくて滅茶苦茶嬉しかった。
ウダさんは最後までラップしてくれませんでした…。
サウンドを聴けばDOTAMAさん・輪入道も「ヒップホップ」だけでは括れないサウンド。
(輪入くんのカリスマ性は群を抜いていますね…!)
DJプレイを抜群の「演奏」とするCreepy Nuts.
レコ発として今日の出演者を総括させたACE.
エンターテイメントのクオリティレベルをどしっと提示してくれたTOCさん。
豪華過ぎる最後のショーケースを経て、ラストは渋谷サイファー。
ここに来るまで数々の困難がありましたが、
陰があるから陽があるのか。苦労は実になるのか。
中盤からは飛び入りOKってことで、イナバ物置状態のステージ。
無敵バンドみたいな状態になり大団円。
ほんと、素晴らしい瞬間でした。
考えてみればヒップホップ・JAZZ・ハードコア・メタルと、
どれも特化したジャンルですね。
突き抜けた同士は共鳴し合うものなのでしょうか。
新しい可能性を見い出せた1日となりました。
ふと、とあるバンドメンバーと話していて
「ここにあるスマホが全て爆発すればいい」と言っていました。
確かにステージを撮影・録画する光景が多く見られました。
バンドの界隈にいるとあまり気にならなかったのですが、
恐らく多くのお客さんが10代くらいで、
ジェネレーションギャップが起きているのだと思います。
つまりヒップホップシーンは若い子が多く集まっている。
これはシーンに世代があるという、とても重要なことだと思います。
これは「撮らないヤツがクール」というテの話ではないです。
フォーカスされるのは「何故撮っているか」。
要するに他人に見せる以外の目的で撮影している人がどの位いるのか。
僕が撮影する理由はブログとSNSに使いたいからと断言できます。
これまでの人生で最も感動したProcol Harumでは最後の集合写真を1枚。
あのジョンボーナムの墓に行ったにも関わらず写真は僅か5枚。
僕はその瞬間を他人のためではなく自分のために感じていたいのです。
何故ならばそれは自分のための感動だからです。
周りのお友達が「楽し過ぎて写真を撮るのを忘れた!」と言うのは
人へ自慢するため用の写真を忘れたのに他ならない。
自分が楽しんだ結果、そうなったのだと思います。
昨今にある「インターネット共有問題」
ライヴ演奏やレコード音源が無断でネット上にアップロードされて共有される。
音源や映像の売上が伸びず、頭を悩ますレーベルも多い。
MCも「ファンです!いつもYouTubeで見てます!」と言われて首を傾げるとか。
しかしそのお陰で知名度が向上している事実もあります。
インディーズからすれば流行ることを最優先に置いているバンドも多いです。
IRON MAIDENは世界で音源が違法ダウンロードされている地域の統計を出し、
その上位に入った地域でのライヴを積極的に行って莫大な収益を得たとか。
(我々の規模と比べても意味がない話かもしれないですが…)
個人的にはYouTubeで音楽を聞いたりすることは然程問題だと思っていません。
現代にある便利なシステムを利用するまでで、便利なことに越したことはないので。
しかしそれらは「わかっている」のが前提のように思えます。
もし「感動」という心の動きがグラフで表わせるとしたら、
恐らく世の中の「感動レベル」はどんどん低下しているように思えてなりません。
例えば僕がレコードの音を聴いて唸っているのは
我々の世代の最良のサウンドがCDだったからであり、
100中70くらいの「感動するグラフライン」を超えたからスイッチがONになります。
でもレコードを知っている人のラインは始めから90なのです。
それが今ではMP3,YouTubeとなり、ハードはスマホのスピーカーとなりました。
高いものを知っているからこそ、低いものも「楽しむ」ことができます。
この日のDJタイムで流れていた音楽が圧縮されたものだと気付けたのは
レコードの立体感を知っているからです。
だからと言ってそれと楽しむことは別です。
ナイスな選曲でフロアを暖め続けてくれました。
初めて触れるものを手軽にYouTubeで漁ってしまえば、
その劣化した状態のもので満足してしまいます。
安価な化学調味料で本来の素材を味を知らない舌のようなもの。
手に入れる苦労もなく思い入れも少ないでしょう。
感受性の水準は次第に低下し、各々の好みや定義はなくなっていきます。
何でもすぐに見られるインターネットのお陰で結果的に視野はどんどん狭まり、
心の琴線に触れずとも、麻痺した耳に何か「新しそうな」サウンドがちょっと入るだけで
斬新だファンだと右から左に言うようになるでしょう。
これはドラマーとしてではなくイチ音楽好きから見て、
本当にもったいないことをしていると思います。
音楽はもっと楽しくもっと面白くもっと素晴らしいものです。
培った感性が下らないものを淘汰し、創作側は切磋琢磨していく。
スキルはより洗礼され、更に素晴らしい芸術作品が完成していく。
こちらの方が健全で、実りのある未来が待っているように思えます。
個人用に撮影して、定期的に見て楽しめるのもあるかとは思います。
しかし撮影する以上、その瞬間に集中力は目の前のものとカメラの2つに散漫します。
100%で受け切った状態と視界がちらついている状態。
瞬間の情報量はどちらが上かは明白に思えますね。
この日のカオスを画面越しに見ちゃうなんて勿体ないですよ!
さきに書いた「ジェネレーションギャップ」というのは、
撮影することへの抵抗の有無ではなく、
「撮って人に自慢すること」が個人において重要なステータスになっている様に思える点です。
共有する楽しみも勿論ありますが、
人に「ヤバい」と言いたいがための楽しいではなく、
100%その場を自分のために楽しんだ方が、より楽しいことになるのではと思います。
当たり前ですけど。
本人にとって楽しい方がいいですからね。
結果的に他の人に共有する話になるでしょうし。
それが口コミってやつでしょうから。
ライヴが終わったら一緒に来た友達とその日の話をしましょう。
その感動を出演者にも伝えて下さい。
大喜びです。もっと頑張っちゃいます。
今後を良くも悪くもするのは我々次第。
撮影するという気持ちも与えないくらい釘付けになるようなライヴにできるよう
今後も頑張っていきたいと思います。
長々と失礼しました。
改めまして、出演の皆さま、スタッフの皆さま、そしてご来場の皆さま
ありがとう御座いました!
それでは、続きはwebで。チーン。