リリースへ向けての準備が全て揃いました!
22日からのイギリスツアーに合わせてのドタバタ。
なんとか間に合って本当によかった。
1つの節目を感じて、何故かこのブログを頭から読み返していました笑。
(このブログになって5年が経過しているとは恐ろしい…)
さて、今回のアルバムの話をする前にロンドンでの活動を振り返ってみます。
2014年11月。路上ライヴのためにイギリスの土地へ降り立ちました。
文字通り右も左もわからず、Brixtonで叩いていたとある昼下がり。
酔っ払いやホームレスが集まるややデンジャラスな環境のなか、
1人のギターを背負った若者が自転車に乗って僕の前へ現れました。
この出会いが切っ掛けとなり、今では毎回彼(ら)の家にお世話になっています。
http://www.rerure.com/blog/diary.cgi?no=402
こうして僕のイギリスツアーは#stdrumsのソロだけではなく、
Javiを中心に"UNDERGROOVRELAND"として路上セッションを繰り返しています。
ZEPやKing Crimsonを聴いていればわかるように、
即興セッションを日々繰り返すことで、自然と流れが生まれてくる。
こうして気付けば僕らにはいくつかレパートリーのようなものができていました。
並行していたのは"I NEED YOUR TRACK"というプロジェクト。
キーとテンポだけを指定し、集まったフレーズを繋げて曲を作ろうとしていました。
しかし僕の知名度が足らなかったか、トラックはなかなか集まらず…。
ここに書いてしまいますが、このプロジェクトは一旦お蔵入りとさせて頂きます。
(折角送って下さった皆様には大変申し訳ないです…)
しかしこのプロジェクトで確信していたことは、
たとえノイズであろうとも
上手くサンプリングして繋げれば必ず曲に仕上げられるということ。
その1つの形が地下鉄のアナウンスをサンプリングした
"mind the gap"でした。
このアイディアと、Javiとの日々のセッションが繋がりました。
キーとテンポを決めて、好きに弾いてもらおう。
前回ロンドンへ行ったときに彼とレコーディングを実施しました。
http://www.rerure.com/blog/diary.cgi?no=476
場所は彼の家の部屋。GUINNESSを飲みながら。
6つの種類のテンポ・キーで録音しました。
隣の部屋からは同居人の話し声も聞こえてきます。
ものによってはクリックの音が漏れて入っちゃってます。
きっと大丈夫。
こうして数曲はサクっと組むことができ、
この3回目のツアー中にも演奏ができました。
帰国してからも編曲作業は続き、全曲を形にさせたのが12月頃。
カクシンハンとの稽古の合間を縫いながら路上で実際に演奏してみてまた編曲。
2月にトラックを出揃わせ、前作同様セルフレコーディングを敢行。
前回はキック・スネア・ハット・シンバルのみで録音しましたが、
今回はフルキット・少し豪華なマイクを使って無事に完了。
編集を終えて書き出そうとしたときにハプニング発生。
システムのややこしい話なので結論から言えば、
GarageBandのアップデートで仕様が変わっていたせいで
録った音源が書き出せない状況に。
途方に暮れつつ再度録音に挑もうとしたそのとき
レコーディングエンジニアとして活動している松井歩美から申し出を頂きました。
基本的に1人で動くコンセプト#stdrumsとしては新しい試み。
一気に本格化したレコーディング。
転んで怪我したらタダでは起きない功名。
前回の音源は好状態のゲネ音源となり、
録音作業は順調に終わる。
よりクリアに録れた材料をミックスに掛ける。
…
徹夜に徹夜を繰り返し延べ50時間のミックス・編集作業となりました。
その大半はギターの編集笑。
恐らくドラムがクリアになった分ギターのラフさが表に出てきた結果でした。
何故バンドが通常ドラムから録音するかがよくわかりました。
ドラムがクリックになるので、ドラムの多少の遊びが許される。
逆に他の楽器から録る場合は、ドラムがオンタイムでないとノリが崩れやすい。
「どんな音でも繋げればどうにかなる」
…なったのですが、骨は折れました笑。
出音はヴィンテージLudwigの鳴りを活かすべくほぼ生音のまま。
空間マイクの音を中心に爆発する音質を目指しました。
なので多くの曲が前半と後半で音量が随分変わる。
いわゆる「昔の音が小さいCD」ができあがる結果となりました。
イヤホンだとこの面白さは伝わりにくいかもしれません。
是非スピーカーの爆音で聴いて頂きたいです。
こうして朝方完成した音源をそのままプレス業者へ発送。
納期として22日の出国に間に合うにはこのタイミングでした。
#stdrumsとして初のプレスは、作品として皆さんのお手元に届いてほしいという願いです。
日々の徹夜作業に付き合ってくれた松井歩美エンジニアにはこの上ない感謝を。
自分の音にここまで向き合える機会はとても貴重で経験になるものでした。
〜楽曲解説〜
- Afrobeats.
セッション要素が強い曲です。
路上ではメインリフをルーパーで回してリードフレーズをJaviが弾きます。
後半の盛り上がりはFREE TIMEと称して遊びまくってたものを重ねてます。
- idon'tknowbut.
このアルバムを作るキッカケになった曲。
Camden Townでセッション中、急にJaviがこのフレーズを弾き始め、あわてて録音。
ゆったりなフレーズに対してポストロック調のドラムを入れてみました。
アルペジオの深海に潜り込んでいきたい。
タイトルは友人の計り知れない悲しみに対して。
わからないままに僕なりの気持ちを表現した曲です。
- Over the Hills and the Far Away.
あの曲。
よく路上でやっております。
途中で展開も違うので、名目上は、サンプリングってことで…笑。
ご本家も2ndで似たようなことをやっておりますし…。
胸いっぱいのリスペクトと共に、
リラックスした空気を感じていただきたいです。
- Edge of Death
Javiがギターを始めたての頃に作ったフレーズとのこと。
路上では序盤の展開をループさせてJaviがソロを弾きまくります。
少ないパーツをなんとか組み込んだので、
最も編集に苦労した曲でもあります笑。
- Keogh Songs.
キロンソングと読みます。
このブログの読者は知っているかもしれない、日本で会ったアイリッシュのキロン。
彼とロンドンで再会し、Javiらとのセッション中に出てきたこのベースラインを中心に作った曲。
またもFREE TIMEで遊び倒してくれた宇宙を曲に投げ込みました。
この曲は最もスピーカーで聴いて頂きたいです。
- Extreme Flamenco.
ボーナストラック!
全て路上の出会いから仕上がったこの1枚。
ジャケットもそれぞれ
表はBrick Lane Marketで叩いていたときに貰ったもの。
裏はJaviとLiverpoolで演奏していたときに見せてくれた写真のもの。
盤面はアナディメやステッカーデザインでもお世話になっている
Yonarte Tattooから頂いた年賀状を起こしました。
先週木曜からリリースして売り上げも好調。
Bandcampにて全曲フル視聴・デジタルダウンロードできます。
CDの通販も勿論OK.ありがたいことに海外からのオーダーも頂いています。
1000枚限定プレス・シリアルナンバー入り・手作り高級紙ジャケット。
いま僕にやれたことを詰め込んだ1枚。是非聴いて下さい!
これを持って22日からロンドンへ行っています。
今回はどんな出会いがあるでしょうか。
また新しいMVのアイデアもありますので、お楽しみに。